この連載は、かつて、クリエイターならではの切なさや怒りの感情をマンガで表現し、多くのクリエイターたちの共感を呼んだ “ クリエイターあるある in 日影工房 ” のスピンオフ企画。日影工房の主要メンバーであり、「妊娠・出産・子育ての中で、仕事をする機会を奪われがちな女性の “ 働く ” をサポートしたい!」という想いから生まれたウーマンクリエイターズカレッジの創設者でもある松本えつを(役名:きのこ)さんが自身の出産体験を元に、ニッポン人女性の視点から妊娠・出産・育児にまつわる「あるある」をお届けします。(いえーる すみかる編集部)
こんにちは。今回のテーマは「The 頻尿!」。
誰からも求められていないのに、きのこがついにトイレ個室内の姿を披露します。
The 頻尿!
トイレ個室内より、ふたたびこんにちは。
さて、一般的にあまり知られていないかもしれないが、「妊婦」と「頻尿」は切っても切れない関係にある。
今日はきのこと一緒に、妊婦と頻尿の関係について、考えてみよう。
妊娠するとトイレが近くなるって本当? 1日何回くらいトイレに行きたくなるの?
一度経験したら、妊婦が頻尿なのはごく当たり前のことと思えるかもしれないが、妊娠経験者も自ら大声で「妊娠すると頻尿になるんですよ〜!」なんてことは恥ずかしくてなかなか言わないので、情報としてはあまり知られていないのが現状だ。
そもそも、人間は普段の状態で、どのくらいトイレに行くだろうか?
一説によると、正常な大人の排尿回数は「1日8回以下」とされる。
しかし、これといって定義もないし、生活習慣によっても変わるし、もともとの個人差もある。
きのこの場合は、妊娠中すべての期を通して、「1日20回以上トイレに駆け込むほどの頻尿」だった。
「1日20回以上」……。
これは、仮に、起きて活動している時間が16時間だとすると、おしなべて「1時間に1回ないし1.25回以上」ということ。
ぴったり一定の間隔で……というわけではないので、タイミングによっては本当にマンガに描かれているように「30分に1回以上」のペースでトイレに行っていた。
たとえるなら、テレビ番組にCMが挟まれるたびに必ずトイレに立つような頻度だ。
または、学校の授業が1コマ50分だとしたら、休み時間にしっかり排尿したにもかかわらず、それぞれの授業の最中にも欠かさず「先生、トイレに行ってきます」と言わざるを得ない頻度。試験などは受けられまい……。
しかし、妊娠中の頻尿にも個人差があるので、そこまで重度じゃないケースも、もっと重度のケースもあるだろう。
また、妊娠初期から頻尿になる人もいれば、さらに子宮が大きくなる中期以降になる人もいる。
いずれにせよ、「妊娠前よりトイレに行きたくなる回数が増えたな……」と思ったら、頻尿の症状が出ている可能性が高いといえる。
妊婦が頻尿になる理由は何?
なぜ、妊娠すると頻尿になりやすいのだろうか?
一見すると、「お腹が大きくなって、膀胱が圧迫されて、尿を普段の量ほど貯めておくことができなくなるからかな?」と思うかもしれない。
それも間違いではないが、ほかにもいくつか理由がある。
[1]妊娠すると、プロゲステロン(黄体ホルモン)が増え、利尿作用をもたらす。
↓
[2]さらに、出産に備えて、体液が増加する。
↓
[3]体液が増加するため、腎臓の働きが活発化する。
↓
[4]加えて、子宮が大きくなり、膀胱を圧迫するようになる。
↓
[5]頻繁に尿意を感じる = トイレが近くなる。
ここにあげたのがすべてではないが、主として考えられるのはこのような理由からだ。
メカニズムを考えると、妊婦の頻尿は、いたって当然の現象だろう。
妊娠中の頻尿を完全に防ぐのは難しい
「頻繁にトイレに行かなければならない」というのは、イチ社会人としての生活を営もうとするのであれば、わりと過酷な条件である。
特に、毎日、長時間のクルマ移動をしなければならない人や、仕事で会議が頻繁にある人などが頻尿になった場合の苦労となると、察するだけで、それはもう……。
きのこは基本的に在宅勤務だったゆえ、長時間の移動もめったになかったし、会議も毎日ではなかった。
頻尿は予想以上の重さだったけれど、まだ救われたほうだ。
それでも、一度、出版社の会議の席でこのマンガに描かれたような体験をしてからは、「やはりもうちょっとなんとかしたいものだわ」と思った次第である。
「頻尿は妊婦にとっては自然なこと。生理現象なのだから、仕方ない」と思いつつ、もう少しだけでも和らげられたらいいな……と。
そこで、頻尿を和らげるためにできる、いくつかの努力ポイントをあげてみた。
[1]利尿作用のある「カフェイン」の摂取を控える。
[2]カフェイン以外にも、冷たい飲み物・食べ物を摂りすぎないようにする。
[3]膀胱周りを締めつけない服装を心がける。ワンピースがオススメ。
[4]夏場でも、靴下・腹巻などを着用。とにかく体を冷やさないようにする。
[5]トイレのたびに前にかがみ、出し切ることで、せめて残尿感を減らす。
これらの努力を「常にする」のは難しくても、大事な会議の前、長時間の移動の前などの数時間に試みてみよう。
それだけでも、30分に1回だったのが、1時間に1回に減るかもしれない(減らないかもしれない)……。