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【マンガ】破水かも! いざというそのときのために知っておくべき大切なこと【松本えつをの子育てあるあるvol.35】

破水とは? すぐに対処しないと危険なの?

破水とは、読んで字のごとく、「何かが破れて水が出る」わけだが、もう一歩詳しく書くと、赤ちゃんを包んでいる「卵膜」が破れて、その中に入っている「羊水」が外に流れ出ることである。

また、破水は、破れる位置やタイミングによって、いくつかの種類に分けられている。
代表的なものは以下の5つ。

《破水の種類》

□ 適時破水
適切なタイミングで破水すること。つまり、陣痛が来て、子宮口が10センチ(全開)になってから破水が起こること。子宮口が全開の状態なので、ほとんどの場合は母体は分娩台の上に、医師や看護師、助産師がその周辺にスタンバイしていると考えられるため、破水の中でもっとも安心である。

□ 前期破水
陣痛が始まる前に破水すること。妊婦全体の1〜2割が経験するとされている。破水後すぐに陣痛が進まないと、子宮内感染のリスクが高まる。そのため、胎児が十分に成長している妊娠37週以降に前期破水が起き、それでも陣痛が進まない場合、陣痛促進剤を使うことになりやすい。

□ 早期破水
陣痛が始まっていて、子宮口が全開になる前に破水すること。大抵はそのまま出産となるが、分娩が長引くごとに赤ちゃんの感染リスクもあがるため、必要に応じて抗生剤などを投与して進める。

□ 高位破水
子宮口の近くの卵膜が破れる一般的な破水に対し、子宮口から遠い位置で卵膜が破れること。羊水は少しずつ流れるため、比較的「尿漏れ」と区別がつきづらいのがこれである。

□ 遅滞破水
早期破水に対し、子宮口が全開になってもなかなか破水しないこと。破水しないことによって分娩が長引いて赤ちゃんや産婦の負担が大きくなったり、胎盤早期剥離につながったりというリスクがあるため、多くの場合、医師の手により人工的に卵膜を破り、分娩を進める。

出産予定日近くに、病院以外のところで過ごしているときに起こり得る「前期破水」と「高位破水」には特に注意が必要である。

周囲に満ちているべき羊水が流れ出てしまうのだから、赤ちゃんにとっては緊急事態。
羊水が一定以下に減ってしまうと赤ちゃんは呼吸さえもままならなくなる。

それゆえ、「破水かも?」と思ったら、取るものも取りあえず、それこそ恥を捨ててでも、かかりつけ医に連絡を入れるべきなのだ。

「破水かも?」と思ったときの注意事項

繰り返すが、破水に違いないと思ったら、まずはかかりつけの産婦人科に電話しよう。
ユッキーのように区別がまったくつかないときも、本当は念のため連絡するのが正解! なのだ。

ただ、尿漏れやおしるしなど、破水と間違いやすい別の症状の可能性が十分に考えられ、かつ、すでに何度かエセ陣痛やフライング入院などを経験していると、どうしても気が引けてしまうのがオンナゴコロというもの。

「破水」と「尿漏れ」の代表的な判別方法に「自分の意思で止められるかどうかを確認する」というものがあり、「羊水は自分の意思で止めることができない。もし、自分の意思で止められるなら尿漏れ」と言われているが、少量で、断続的な出方の場合は、自分の意思で止められるかどうかの判断さえもしづらいよね?

くれぐれも「絶対的な頼りにしてはいけない」が、あくまで「安心材料のひとつ」レベルであれば、アルカリ性に反応するリトマス試験紙の「赤」を持っておくのもいいだろう。

「おおよそ尿漏れだけど……、今は止まっているようだし、万が一くらいの確率で破水かもしれないから調べてみよっかな」というような状況ならば、リトマス試験紙の「赤」をつけてみる。
羊水は弱アルカリ性なので、その結果、「赤」が変色して「青」に近づいたら「羊水である可能性が高い」、まったく変色しなければ「羊水である可能性が低い」ということがわかる、というわけだ。

言わずもがな、前者であれば即刻、かかりつけ医に電話だし、後者であってもリトマス試験紙を使って調べた結果は安心材料のひとつに過ぎないので、絶対に過信は禁物!
引き続き経過を観察して、ちょっとでも不安があれば、やっぱり電話したほうがいい。

ちなみに、リトマス試験紙は、Amazonでも500円以内で購入が可能(赤と青のセット売りが多い)。
しかし、いくら「プライム会員だと当日あるいは翌日に届くから」といっても、破水かどうかの判断に必要なスピードにはかなわないので、ものの数分で取り出してチェックできるように、あらかじめ手元に用意しておくことがポイントである。

また、「おおよそ尿漏れだけど……万が一の確率で破水かも」というレベルではなく、「(破水の)可能性が1〜2割ある」「(破水の)確率としては五分五分」というような状況であれば、リトマス試験紙などと言っていないで、とにかくやはり、かかりつけの産婦人科に電話しよう。

その際、まず、清潔なナプキン(破水時用のものが市販されているので妊娠後期になったら購入・携帯しておく)をあて、大きめなタオルを巻いて応急処置。
感染するリスクがあるので、くれぐれも、シャワーやお風呂、ウォシュレットの使用などは避けるように!

産婦人科への移動は、徒歩や電車などを避け、タクシーを利用しよう。
卵膜が破れている状態で歩いたり、階段の昇り降りをすることは、一歩間違えると自殺行為。
一説には「破水しているとタクシーの乗車を拒否されることがある」などという悲しい話もあるが、近年では「陣痛タクシー(マタニティタクシー)」といって、妊婦さんが安心して配車してもらえるサービスがいくつかあるため、妊娠後期になるまでに確認し、必要であれば「利用登録」&「携帯電話に番号登録」をしておくのがおすすめだ。

***

マタニティ業界には、症状から原因や対処法を判断するためのさまざまな方法があるけれど、一貫して言えるのは、やはり、「自己判断は禁物!」ということ。

周囲に過剰に気を使ったり、人目がやたら気になってしまったりする「いい子」さんには特に、問いかけたい。
「妊娠・出産期において、いちばん大事なのは何?」と。

それは「赤ちゃんと母体の安全」であって、決して「お利口でいること」ではないはずなのだ。

ユッキー、そんなに「いい子」じゃなくて、いいんだよ。

文:松本えつを

▼松本えつをの子育てあるある▼

◆ 文・ストーリー構成:松本えつを(役名:きのこ)

絵本作家・エッセイスト・コピーライター。2007年、8年間役員をつとめた出版社から独立。2008年、出産後の出血多量で死にかけるも一命をとりとめたことをきっかけに、女性が働きづらい社会を少しでも変えたいと一念発起。以降、ニッポンの女性アーティスト・クリエイターの自立支援を目的とした教育&プラットフォーム事業を立ち上げ、多くの女性たちの声を聞く。2014年、クリエイターを対象としたマンガコンテンツ “ クリエイターあるある in 日影工房 ” を企画・制作。これまでの著書の大部分は大人の女性を対象としたものとなる。代表作に『バンザイ』(サンクチュアリ出版)、『ユメカナバイブル』(ミライカナイ)等。

クリエイターあるある in 日影工房
ウーマンクリエイターズカレッジ「絵本の学校」

◆ 絵:ささはらけいこ(役名:もじゃ)

1984年北海道生まれ。金沢美術工芸大学油画専攻卒。東京クリエイターアカデミー(現ウーマンクリエイターズカレッジ)を経て、2010年よりイラストレーター・絵本作家として活動を始める。2014年から “ クリエイターあるある in 日影工房 ” の作画を担当し、「もじゃ」役として出演。2015年におまんじゅうのような子どもを出産し、テンヤワンヤで子育て真っ最中。
ささはらけいこポートフォリオサイト「星ふるモジャモジャの丘」

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