すみかる住生活版

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【マンガ】産褥期のリスクを知っておくべし! 産後16日目にして死にかけた、きのこの実体験【松本えつをの子育てあるあるvol.41】

産褥期とは? どのくらいの期間?

産褥期」とは、出産をした女性の身体が、ほぼ妊娠前の状態まで復帰する期間のこと。
出産の方法や個々の体質により差はあるが、早くても6週間、長くて8週間ほどとされている。

妊娠中から出産にかけて、とてつもなく大きな変化が起きている母体。
精神的にも肉体的にも相当なダメージを負っている。
これはたとえるなら「全治8週間」の大ケガかそれ以上の負荷がかかった状態だ。

「産後の肥立ち」や「床上げ」も、産褥期にまつわる言葉である。
「産後の肥立ち」は、母体が徐々に回復していくことを指し、「床上げ21日」とは、産後に敷きっぱなしにしているお布団を上げるまでに少なくとも3週間、つまり「産後3週間は家事などをせずに寝たきりがよい」という意味合いで使われる言葉だ。

産褥期にムリをすると、不調が現れ、のちのちの生活に支障をきたすこともあるし、最悪の場合、命を落とす危険性もあるということを忘れてはいけない。

「子宮復古不全」や「晩期産褥出血」とは?

妊娠と出産のプロセスで、もっとも大きな変化を遂げるといっても過言ではないのが「子宮」。
当然、産褥期における大きな変化のうち、代表的な項目としても「子宮の回復」があげられる。

出産直前をピークに最大化した子宮は、産後4週間ほどかけて元の位置と元の大きさに戻っていくのが一般的だが、場合によってはスムーズに回復しないこともある。
子宮復古不全」とは、この「子宮の回復」が何らかの理由によってうまくいかないことを指す。

また、「晩期産褥出血」とは、出産(分娩)後、長期間過ぎてから性器出血を起こすことをいう。
子宮復古不全ゆえ、子宮内に胎盤などが残っていることが原因で起こる場合と、子宮内の裂傷(キズ)や血腫や腫瘍(しこり)、血液疾患などに由来して起こる場合がある。

当たり前だが、産後間もなく、まだ血液の全体量が多い状態であっても、通常の範囲を超えて出血すると、マンガに登場するきのこのように、生死をさまようことになる。

産褥期にムリをしたり、通常の生活を早々に始めたりすることがこれらの引き金にならないとは言い切れない。

きのこは産褥期にムリをしたのか?

……となると、「きのこは産褥期にムリをしていたのか?」という疑いが生まれるかもしれない。

これに関しては、リアルタイムではムリをしている自覚はなかったというのが正直なところ。
しかし、あとから細かく振り返ると、反省点はいくつもあった。

入院中はノートパソコンを持ち込んで何らかのちまちました作業をしていたし、フリーランスで在宅ワーカーだったため、自宅での仕事再開は産後1週間程度……と、叱られても仕方ないくらい早期だったし……。
都内に住む核家族だったうえに、里帰り出産でもなかったため、家事や育児においても近くに頼れる人はいなかったし……。

きのこの場合は、最初にこぶし大の悪露の塊(かたまり)が出たのが産後14日目。
すぐさま病院に連絡して診察を受けたが、「1回なら心配ないだろう。まぁ、様子を見ましょう」との診断を受け、安心してしまった。

そして、その2日後、マンガに描かれている出来事が起きてしまったのだ。

総合的に振り返って感じるのは、「たぶんきのこは、あのとき、産褥期をナメていたのではないか?」ということである。
妊娠期も、出産(分娩)自体も大きなトラブルに見舞われることもなく、産後の入院期間の検査も一発OKをもらって、悪露の塊が出ても、さほど対策は講じず、ちょっと早いけど「もう普段通りでいいよね!」くらいのノリでいたような気がする。
もちろん、「たとえるなら今は大ケガをしたあとなのだ」なんてことは、これっぽっちも思っていなかった。

9年も経た今でも思い出すと背筋が凍る悲惨な出来事。
それが起きてしまったのは、担当医のせいでも、家族のせいでも、周りのほかの誰かのせいでもない。
何よりも「自分の甘さ」が招いた結果だったと思う。

これから産む人、そして、その周りの人へ

これから出産を迎える人。妊娠を望んでいる人。そして、その周りの人へ。

きのこが体験したことをもって、どうしても伝えたいメッセージがあります。

それは……
「どうか、産んだあと、安心はしても、気は抜かないでください」
「どうか、無事に出産が済んだからといって、ムリをさせずに、じゅうぶんに休ませてください」
ということです。

妊娠・出産は、とてつもなく大変なお仕事です。
新しい命を生むという素晴らしいお仕事なのです。
ですが、そのために、すでにある命を失うこともあります。

生まれるということと、死ぬということは、常に隣り合わせなのです。

今回のマンガに描かれている出来事の中には、一切の誇張表現はありません。

どうか、そのときがきたら、ちょっとでいいので、このお話を思い出してください。
用心するに越したことありません。

悲しい結果ではなく、ひとつでも多くのしあわせが、新しい命の誕生とともに生まれ、育ちますように。

***

次回はもう少し明るい話題になるよ。

文:松本えつを

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◆ 文・ストーリー構成:松本えつを(役名:きのこ)

絵本作家・エッセイスト・コピーライター。2007年、8年間役員をつとめた出版社から独立。2008年、出産後の出血多量で死にかけるも一命をとりとめたことをきっかけに、女性が働きづらい社会を少しでも変えたいと一念発起。以降、ニッポンの女性アーティスト・クリエイターの自立支援を目的とした教育&プラットフォーム事業を立ち上げ、多くの女性たちの声を聞く。2014年、クリエイターを対象としたマンガコンテンツ “ クリエイターあるある in 日影工房 ” を企画・制作。これまでの著書の大部分は大人の女性を対象としたものとなる。代表作に『バンザイ』(サンクチュアリ出版)、『ユメカナバイブル』(ミライカナイ)等。

クリエイターあるある in 日影工房
ウーマンクリエイターズカレッジ「絵本の学校」

◆ 絵:ささはらけいこ(役名:もじゃ)

1984年北海道生まれ。金沢美術工芸大学油画専攻卒。東京クリエイターアカデミー(現ウーマンクリエイターズカレッジ)を経て、2010年よりイラストレーター・絵本作家として活動を始める。2014年から “ クリエイターあるある in 日影工房 ” の作画を担当し、「もじゃ」役として出演。2015年におまんじゅうのような子どもを出産し、テンヤワンヤで子育て真っ最中。
ささはらけいこポートフォリオサイト「星ふるモジャモジャの丘」

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