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タカシが産後クライシスにおちいった理由《後編》 〜マダム・リリーのお悩み相談サロン【Case.2】〜

ようこそ、マダムリリーへ


『タカシが産後クライシスにおちいった理由《前編》 〜マダム・リリーのお悩み相談サロン【Case.2】〜』にて、妻との不仲を相談したタカシ。
マダム・リリーに、タカシが家事や育児を「手伝う」と言っていることを指摘されてしまいました。
さて、今回はその《後編》です。
マダム・リリーは、タカシに何を伝えたいのでしょうか?

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マダム・リリーからの助言(2)

リリー「いい?奥さんは、子どもをちゃんと育てるために、家庭を維持するために、つねに一身にその責任を背負っているわ。だって、奥さんがやらなければ誰もやってくれないんですもの。

それだけやって、しかも外に働きにも出て、自分の時間なんか一切ない。クタクタでボロボロでも誰もほめてもくれないの。あなたは、その一部を『手伝って』いるだけで、育メンなんて自称しちゃうくらい、『偉い』って言われるのにね」

タカシ「……確かに、そうですね。妻がどうして怒っているのか、わかった気がします」

リリー「世の中には、育児や家事をまったくしない不届き者の夫もたくさんいるわ。それに比べたら、あなたはやってる方かもしれないわね。でも、実際に何をしているかというよりも、まずは意識を主体的に変えること。だって、あなたの可愛い娘さんのことなんだもの。

子どもをちゃんと育てるために、家庭を維持するために、毎日なにをするべきなのか、これからなにが必要なのか、もしも、急に奥さんがいなくなったとしても平気なくらいには、考えて、知っておくべきよ。そして、そのことを奥さんときちんと話し合うの。

あなたの方から、『保育園の連絡帳に、鼻水がたくさんでてるって書いてあったから、○○小児科に連れて行った方がいいと思うんだけど、君は明日連れて行く時間があるかな?僕の方でも半休を取れるか聞いてみるよ』ってね。それだけのキャパシティを見せれば、あなたの男としての株もあがって、奥さんも惚れなおすかもしれないわよ」

タカシ「なるほど。意識を変えたら、言動も変わってきますもんね。これで産後クライシスを乗り越えられそうです!」

リリー「そうね。だいぶ夫婦関係も改善されると思うわ。でも、それだけじゃまだ足りないわね」

タカシ「え!?ほかにまだなにが必要なんですか?」

マダム・リリーがタカシに伝えたいことは?

リリー「あなたたちが産後クライシスにおちいった1番の原因は、簡単に言えばコミュニケーション不足よ。子どもが産まれて、慣れない育児に追われて、そうこうしているうちに奥さんも働きだして、ふたりでゆっくり話をする時間も余裕もなかったでしょう。限られた時間の中で、まずは子どもとゆっくり過ごしたい、疲れきった体を少しでも休めたい。そう思うのは当然ね。

でもね、それを多少犠牲にしてでも、無理してでも、子ども抜きの夫婦ふたりだけの時間をつくるべきよ。日本人は、外国に比べて夫婦の時間をつくることに消極的なの。欧米では、週に1、2回は子どもをベビーシッターに預けて、夫婦でディナーを楽しむなんていうのは普通なのよ。

日本では、『そんなことをするのは限られたセレブだけでしょ』なんて思われている節があるわね。確かに、日本のベビーシッターなどの託児サービスは高額だから、そう頻繁には難しいわね。

でもね、たまにはいいんじゃないかしら。例えば、月に1回、3時間でもいいわ。それでもし夫婦関係が良好に保たれるなら、健全な家庭の維持のために、ひいては子どものためにもなるのだから、むしろ必要経費よね。

おすすめはね、結婚前のように外で待ち合わせして、普段はつけられないようなアクセサリーやヒールなんかを身につけて来てもらうの。時間を取れるならば、しっとりとした大人の映画を観て、子どもが入店不可のビストロなんかに行って、食事を楽しみながら、さっき観た映画について語り合うなんてどうかしら?お酒が好きなら、そのあとバーに行ってもいいわね。

そんな洒落たデートは柄じゃないっていうなら、乳幼児とは入りづらいカウンターのみの、小汚いけど美味しい焼鳥屋に行ってから、ほろ酔いでボウリングとかカラオケとかに行って、学生時代みたいに大はしゃぎするなんていうのも楽しいかもね。要するに、そのカップルが1番楽しめるデートをするってこと。

その機会に、ゆっくり子どものことを話してもいいし、育児のグチなんかをお互いに言い合ってもいいわね。あとは、子どもとまったく関係ないことを話すのもいいわ。お互いの仕事や夢や趣味についてでもいいし、くだらない世間話、興味があれば政治のこととか、なんだっていいの。心の奥にふみこんで、深く語り合えるなら最高ね。

でもそうね、今まであまりそういう時間をもてなかったなら、とりあえず家族のこれからの展望について話すのがまず先決だわ。子どもの今後の教育方針、第二子以降はどうするか、住居について、親について、仕事とのバランス、家族旅行や遊びの計画……話すことは尽きないわよね。

そしてね、お互いに普段はなかなか言えないようなことを改めて口にするの。日ごろの感謝の気持ち、申しわけないと思っていること、そして、相手を大切に思っていること。照れくさいけど、大事なことよ。

もし、物理的に育児を担うことができなかったとしても、感謝や想いを伝え合うこと、思いやりをあらわすこと、それだけでも、日々を生きぬく糧になるのよ」

タカシ「……そうですよね。僕、父親と母親になる前には当たり前にできていたことが、まるでできなくなっていたかもしれません」

リリー「そうかもね。ふふ、私も経験あるわよ!あ、あなたにこれあげる。ここも、夫婦ふたりで行くのにオススメのところなの。

“すみかる温泉ご入館ペアチケット” 1枚 2,634円。

広い岩盤浴と休憩室のあるリラックスゾーン、”ヒーリングバーデ”にぜひ入ってちょうだい。ふたりでゆっくりお話しながら汗をかけば、身も心もデトックスされるわ。これを必要としてる人が、きっとくると思って買っておいたの」

タカシ「あ、ここ結婚する前ふたりでよく行ってたんですよ!なんでわかったんですか!?」

リリー「うふふ、私にはなんでもわかるのよ」

タカシ「ありがとうございます!マダム・リリー!」

そう言って、サロンをあとにしたタカシ。
マダム・リリーにもらったチケットを見つめるまなざしは、やって来たときとは違い、あたたかな光であふれている。

文:つかまい子
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