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【マンガ】1日平均100件も! 思わぬ原因が火事を引き起こす 〜きのこの実家が燃えちゃった話〜【松本えつをの子育てあるあるvol.49】

火災が多いのは冬(12〜2月)かと思いきや……違ったぁぁぁ!

冬場は空気が乾燥するから、ちょっとした火花から火事が起こり、それが広がりやすいというイメージがある。
なんなら冬はセーターなどのニットものを着ることが多いから静電気なんかも起こりやすくて、そこから火が出るってこともあるんじゃないか! とか(妄想)。

しかし、総務省消防庁による消防白書(2017年発行)によると、現在の国内の火災件数は、冬よりも春が多いんだと。そんなん、二度見しちゃうよ!

「火事は冬に起こるもの」という思い込みから冬以外の季節は気を抜いてしまう恐れもあるけれど、油断は禁物。

グラフを見ると、最多は春で、次が冬だが、夏も秋も極端に減っているわけではない。
つまり、年がら年中、火事は起きているのだ。
均すと「1日あたり100件、15分に1件ほど発生」しているらしいよ。

あり得ないと思っているようなことがあり得るのが世の中であり、人生だよね。

こちらの記事に具体的な対策方法なども載っているので、チェックしておこう。

火の扱いには注意してる? ノンノン!「身近すぎて見落とされがちな火災の原因」に要注意!

火災の原因で多いと言われているのは「放火」「たばこ」「コンロ」「ストーブ」などで、年度により入れ替わる。

また、トップ3には食い込まないものの10位以内にはしれっと入っている「見落とされがちな原因」に「配線器具」があげられる。

「放火」は犯罪なので、今はちょっと置いておくとしよう。
「コンロ」や「ストーブ」などは大人であれば使用時や片付け時に注意することで火災をおおかた予防できる。
しかし、「配線器具」はどうだろうか……?

たとえば、コンセントの差込口や家電に付属している電源ケーブルなどは「配線器具」の代表的なものだが、それらを使用する際、つねづね、火事にならないよう注意を払っているかというと、なかなかそうはいかないのが我々、人間である。

なぜなら、コンセントの差込口や電源ケーブルがあまりにも身近すぎるからだ。

照明器具、テレビ、CDプレイヤー & スピーカー、電子レンジ、ドライヤー、炊飯器、コーヒーメーカー、浄水器、空気清浄機、加湿器、パソコン…etc.などはとても身近で、使用頻度が極めて高い。
1年に365回(1日1回)以上、あるいは常時使用というレベルのあまりの頻度に、人々は「扱うときは常に注意を払う」ということがしづらくなってしまうのである。
そして、忘れた頃に出火……。

また、何も繋がれていないコンセントの差込口も同様。
それらは家の壁や天井に備え付けられているものであり、「あって当たり前」だ。
いわゆる「そこに空気のように存在しているもの」なので、いつしか存在さえも忘れられる。
しかし、家主に忘れられてしまった存在であっても、彼らは常時、仕事ができるようにスタンバイしている。つまり、電気を通わせているわけだ。
忘れた頃に、たまった埃に電気が掛け合わさって、火の元となり、火災が発生することもある。
これがまさに、マンガの中できのこの実家が全焼した原因である。

コンセントの差込口や電源ケーブルは赤ちゃんにとって超危険!

書きながら「子育てあるある」を語るというミッションを思い出したため言及するが(←ウソ)、コンセントの差込口や電源ケーブルなどの配線器具は乳児や幼児にとって、たいへん危険な存在である。

そして、危険であるだけでなく、彼らにとっては極めて魅力的な存在。

その多くは、小さい子でも手に届くような低い位置にあり、いたずらをしても逃げていかないという従順さを持っている。
その姿はまるで「どうぞ、ボクで遊んでくださいよ」と懇願しながら鎮座しているかのようだ。

さらに、コンセントの差込口や電源ケーブルは、ぱっと見、刃物等の鋭利なものと比べると危険度が低そうなので、親はそれほどリスクを察知しづらく、子どもが近寄っても注意しなかったりすることが多々ある。

そして、親がちょっと目を離したすきに、子どもがコンセントの差込口を舐めまわしたり、ヘアピンなどを差し込んで遊んだりして「恐怖の感電」に至る……。

また、子どもが電源ケーブルをガシガシとかじることで、ケーブルの中身がむき出しになってしまって「恐怖の感電 リターンズ」となることも……。
最悪の場合、そこから出火することだってあるから、マジでバカにできない。

あまりにも便利で、当たり前のようにそこに存在する配線器具。
しかし、子どもがいる家庭にとってそれは、コンロやストーブ、刃物などと同等レベルの危険性を秘めている「脅威」なのだ。

小さなお子さんがいる家庭は、いま一度、家庭内で注意喚起をしてほしい。

賃貸でも一戸建てでも火災保険には絶対に入るべき!

マンガの中にもあったように、きのこの実家は築30年ぐらいのタイミングで全焼してしまった。
そして、その実家の一戸建てが火災保険に入ったのは、なんと、築25年くらいのときだったのだ。

母によると、築25年くらいの頃、とある親戚に「え、火災保険、入ってないの? 信じられない!」と言われ、「言われてみればそうね」と思い、加入したとのこと。
まさに、その親戚は「恩人」である。

まさかと思うようなことが、しれっと起こるのが人生。
マジで、火災保険に入っていてよかった……。

だって、発生確率は低くても、それはあくまで確率論であり、その低い確率にヒットしてしまわない保証なんて、誰も持っていないのだから。

ちなみに、全焼とはいえ、家屋のごく一部は消失せずに残っていた。
でも、本当に「ごく一部」だったので、全焼という扱いになったのだ。

この「全焼という扱いになる」ということは、何気にすごく大事なこと

なぜなら、火災保険は、そのほとんどが被害の規模を「全損(全焼の多くはこれに含まれる)」「半損(半焼はこれに含まれる可能性が高い)」などの段階で区分して支払う金額を決めているからである。

つまり、火災にあった際、保険金の上限金額を受け取るには、何はともあれ「全損(全焼など)」とみなされなくてはならないのだ。

当時、全損とみなされるかどうかが不明だったタイミングでは、家族みんなで不安になった記憶がある。

こういったケースでいちばんキツイのは「きわきわで半損(半焼など)だよねコレ」とみなされてしまうことだ。

燃えていないにせよ、同じ家なので、家屋も物も煤だらけ、コゲだらけ、匂いも強烈! な状態。
救出して使おうと思っても使えないことが、あとからわかったりする。

にもかかわらず、万が一「半損」扱いになってしまったら、せっかく保険料を払い続けてきたのに、おりる保険金がぜんぜん足りない! という事態になってしまう。
これはツライ……。

もちろん、火事になったらまず、第一にも第二にも、人命。
そして、火災規模をできるだけ小さくするためにみんなで協力しあう、ということが大事だ。

ただ、もし、屋内の人がすべて逃げて安全を確保でき、近隣の家屋と飛び火しないだけの距離あり、すでに6〜7割がた燃えてしまっているような状態なら、もう悪あがき的な火消しをしたり、大切な物を取りに行こうとするようなことはやめよう。

だって、いいことないよ。

悪あがき的な火消しをしても、危険を顧みず大事な物を取りに行っても、もう、おそらく残りの3〜4割は使い物にならない。

さらに、多くの保険では「延べ面積の8割以上が焼失しているか」「経済的に再取得するための費用の80%以上の損失を負っているか」が、全焼と半焼の判断を分ける。

そう、「8割」がキモなのだ。

なので、保険に入るときは、なんとなくじゃなくて、十分に説明を聞き、「どういった場合にどのような補償がされるのか」をしっかり確認しよう。

また、逆に、「どういった場合には例外扱いになるのか」についても、忘れずに確認しておこう。

そのときに得た知識と、くだした判断が、のちに人生設計を大きく狂わすことになりかねないのだから。

***

実家が火事になったその日から3日間、焼け跡の片付けのために実家に滞在した。
もちろん、実家そのものが燃えてしまったので、近所の方の家に泊めていただいたのだけれど。

その間、同じ町内の方々や、駆けつけてくれた親戚の方々に、信じられないくらいたくさんお世話になった。

片付けのお手伝いをしてくれたほかに、炊き出しをしてくれたり、夕食に招いてくれたり、お風呂を貸してくれたり、服を貸してくれたり。

そして、何よりも、精神的なダメージを受けている我ら家族を励ましてくれた。

マンガにあるように、火事そのものは災難だったが、その火事という出来事で知ったのは、親の親たるゆえんと、家族というコミニティ同士が持つ絆だった。

それはきっと、たとえ火事にならなくても、常に存在しているものなのだろうと思う。

そんな「普段は目に見えなくて気づきづらいもの」に、きっかけがなくとも気づいていける人になりたい。

文:松本えつを

▼松本えつをの子育てあるある▼

◆ 文・ストーリー構成:松本えつを(役名:きのこ)

絵本作家・エッセイスト・コピーライター。2007年、8年間役員をつとめた出版社から独立。2008年、出産後の出血多量で死にかけるも一命をとりとめたことをきっかけに、女性が働きづらい社会を少しでも変えたいと一念発起。以降、ニッポンの女性アーティスト・クリエイターの自立支援を目的とした教育&プラットフォーム事業を立ち上げ、多くの女性たちの声を聞く。2014年、クリエイターを対象としたマンガコンテンツ “ クリエイターあるある in 日影工房 ” を企画・制作。これまでの著書の大部分は大人の女性を対象としたものとなる。代表作に『バンザイ』(サンクチュアリ出版)、『ユメカナバイブル』(ミライカナイ)等。

クリエイターあるある in 日影工房
ウーマンクリエイターズカレッジ「絵本の学校」

◆ 絵:ささはらけいこ(役名:もじゃ)

1984年北海道生まれ。金沢美術工芸大学油画専攻卒。東京クリエイターアカデミー(現ウーマンクリエイターズカレッジ)を経て、2010年よりイラストレーター・絵本作家として活動を始める。2014年から “ クリエイターあるある in 日影工房 ” の作画を担当し、「もじゃ」役として出演。2015年におまんじゅうのような子どもを出産し、テンヤワンヤで子育て真っ最中。
ささはらけいこポートフォリオサイト「星ふるモジャモジャの丘」

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