すみかる住生活版

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【マンガ】これってキラキラネーム? それともしわしわ? 現代特有の名付けの悩みにどう対応する?【松本えつをの子育てあるあるvol.40】

赤ちゃんの名付けっていつまでにしなきゃいけないの?

赤ちゃんが生まれたら、もれなく「出生届」を出す必要がある。
住まいの市町村役場または区役所に出生届を出すことで初めて正式に戸籍や住民票に登録され、社会の一員として認められるのだ。

出生届には赤ちゃんの名前を書く欄があり、もちろん提出前にその欄を埋める必要がある。
出生届を出す期限は生後14日なので、それまでに赤ちゃんの名前も決定しなくてはならない。
生後14日。つまり2週間! 退院してから約1週間である。意外とあっという間だ。

一般的には、母親はまだまだ悪露も続いているし、体調も不安定な段階のため、出生届を出しに行く役割はパートナーが担うことが多い。

赤ちゃんの名前、どのタイミングで考えるのがベター?

赤ちゃんの名前を考え始めるタイミングで多いのは「お腹の赤ちゃんの性別がわかった時点」だろう。
妊娠中期は安定期でもあり、時間的・精神的な余裕もあるので、その頃から考え始めるのは得策。
しかし、「名前を決定」するのは少し待ったほうがいい。

あくまで「知人の話」のレベルだが、やっぱり最終決定は、生まれた赤ちゃんの顔を見て、つけようと思っていた名前がしっくりくるかこないかを確かめてからがいいとのこと。
生まれる前は「◯◯って名前にしよう」と思っていても、生まれた赤ちゃんの顔を見て「いや、なんかちがうな」と気が変わることも多々あるからだとか。

「キラキラネーム」と「しわしわネーム」に板ばさみくらってる? 現代の名付け事情

おそらくご存知の「キラキラネーム」とは、別名「DQNネーム」とも呼ばれ、海外でよく聞く言葉の「音」に無理やり漢字を当てはめたような名前や、アニメのキャラクターにあやかった名前などを指す。
どうやら流行し出したのは2000年頃からのよう。
2010年頃からは「キラキラネーム」という言葉が「嘲笑」の意味合いを込めて使われることが多くなったように感じる。
ちなみに最近では、キラキラネームをつけられた人は進学や就職の際に不利になるとの情報も。

また、その後に出現した「しわしわネーム」とは、「キラキラネーム」の対義語。
たとえば「◯◯子」「◯◯太郎」など、昔ながらの古風な名前のことを指す。
「しわしわネーム」というくくりは、一般的に賞賛の意味合いで使われることが多いようだが、「しわしわ」って響きが賞賛しているイメージとは程遠いため、やっぱり言われたくないと感じる人もそれなりに多い模様。

そんなこんなを考えると、現代は、どんな名前をつけても、だいたい「キラキラネーム」か「しわしわネーム」のどちらかに属することになってしまうのではないか? と不安に思う人も出てくるだろう。
今風の名前にすればキラキラ認定されるし、かといって古風な名前をつければしわしわ認定。
これはもう「いったいどうしたらええねん!」状態である。

いやいや、本来だったらどっちだとしても「悪い」わけではないんだけどもね。

どの時代も「流行りすたり」はある!

それにしても日本人は「◯◯男子」「◯◯女子」「◯◯ママ」「アラ◯◯」「◯◯タレ」などとカテゴリ分けするのが好きだよね。

現代だからこそ、「キラキラネーム」や「しわしわネーム」というカテゴリが存在し、名付けに余計な苦労が加わってしまっているが、考えてみれば、現代に限らず、どんな時代だって流行りすたりはあっただろうし、多少でも流行れば、それらの名前はタイプによってカテゴリ分けされていた可能性はあるはずだ。
ただカテゴリを命名していなかった、あるいは、命名されていたとしてもそれが現代まで残っていないだけなのかもしれない。

たとえば、「◯◯子」という名前は平安時代の貴族の名前に多かったそうだが、江戸時代や大正時代を経て昭和ではもう、それがオーソドックスな女子の名前になっていた。
……ということは、それだって出始めの頃は立派な「キラキラネーム」だった可能性はある。

また、たとえば、「◯◯左衛門」って名前はどう?
過去に流行った時期があるからこそ、現代の人々は「◯◯ざえもん」って読めるだろうけれど、初めて出てきたときは「なんて読むの?」ってなっていたかもしれない。
そう考えると、現代のキラキラネームのうちのひとつ「龍飛伊(るふぃ)」も、この先もっと流行れば、100年、いや50年後には誰もが当たり前のように読めるようになっているかもしれないよ!

いろいろ考えを巡らせてみたけれど、つまりは、名付けの際に必要以上に「キラキラ(しわしわ)ネーム認定されちゃうかも?」という恐怖に怯える必要はないんじゃないかなってこと。

まずは、親として愛を込めて名前を考えること。
そして、その名前で、その子がその子らしくしあわせに生きられるかを想像すること。
あとは、使っている音の響きや漢字が持つ意味をしっかり調べておくこと。

それさえやっていれば、子どもが大きくなったときに改名を願い出るという事態にはならないと思うのだ。

ただ、それでも決めきれないときは、最後の判断基準として、姓名判断を使ってもいいかもね。
きっと「最後のひと押し」を手助けしてくれるよ。

***

いやしかし、原則として、名前は一生ついて回るもの。
そんな大事なものを生後2週間で決めなくてはならないって、なかなか強引なルールだ。

やはり、生まれるのがわかっているんだから、妊娠中から考え始めておくに越したことないよね!

余談だけど、きのこの本名は父親が当時お気に入りだった女優さんの名前をとりあえずそのまま拝借したらしいよ。
ま、ただの照れ隠しでそう言っただけで、本当はもっと深くて尊い理由があるはずだから、ぜんぜん気にしてませんけどね。ぜんぜん。

文:松本えつを

▼松本えつをの子育てあるある▼

◆ 文・ストーリー構成:松本えつを(役名:きのこ)

絵本作家・エッセイスト・コピーライター。2007年、8年間役員をつとめた出版社から独立。2008年、出産後の出血多量で死にかけるも一命をとりとめたことをきっかけに、女性が働きづらい社会を少しでも変えたいと一念発起。以降、ニッポンの女性アーティスト・クリエイターの自立支援を目的とした教育&プラットフォーム事業を立ち上げ、多くの女性たちの声を聞く。2014年、クリエイターを対象としたマンガコンテンツ “ クリエイターあるある in 日影工房 ” を企画・制作。これまでの著書の大部分は大人の女性を対象としたものとなる。代表作に『バンザイ』(サンクチュアリ出版)、『ユメカナバイブル』(ミライカナイ)等。

クリエイターあるある in 日影工房
ウーマンクリエイターズカレッジ「絵本の学校」

◆ 絵:ささはらけいこ(役名:もじゃ)

1984年北海道生まれ。金沢美術工芸大学油画専攻卒。東京クリエイターアカデミー(現ウーマンクリエイターズカレッジ)を経て、2010年よりイラストレーター・絵本作家として活動を始める。2014年から “ クリエイターあるある in 日影工房 ” の作画を担当し、「もじゃ」役として出演。2015年におまんじゅうのような子どもを出産し、テンヤワンヤで子育て真っ最中。
ささはらけいこポートフォリオサイト「星ふるモジャモジャの丘」

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