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【マンガ】長引く陣痛にダウンするのは夫の方?! ユッキー夫妻にみる “ 出産(後半戦)あるある ” 10選【松本えつをの子育てあるあるvol.37】

それまではさほどリアリティがなくても、院内着に着替えた途端、緊張感が増す

院内着に着替え、お産用の紙パッドなどを着用したときの緊張感ときたら半端ない。着替えることで「いよいよ未知の世界に連れていかれるんだ」という実感がわきまくる。院内着はいわば戦闘服。

平常時だったら「ごく一部のマニアの方がやるようなこと」と思っていることをされてもまったく抵抗感がない

代表的なのは「下の毛を剃られる」「浣腸される」など。普段だったら無縁かつ恥ずかしいようなことをされてもまったく抵抗しないし、抵抗するつもりも起きないのが出産時という異次元。ちなみに、下の毛を剃ることも浣腸も、分娩時に会陰を経由して赤ちゃんや母体が細菌感染を起こさないようにするために行われる。

今まで本人でさえも知らなかった特技が発見される

たとえば、陣痛が長引くと、普段そんなことできないのに「一瞬のすき間」で「一瞬の睡眠」を取れるようになる。陣痛の波と波の間は最後のほうになると1~2分。そんな短時間でも眠れるようになる不思議。あなたも今日だけのび太くん。

初めての痛みなので、ナースコールを押すタイミングは得てしてよくわからない

看護師さんから「痛みに耐えられなくなったらナースコールしてくださいね」などと言われても、すでに耐え難い痛みのため、これがどうなったら押せばよいのかなんてわからないし、本当に瀕死状態になったときには自分で押す余裕なんてないという現実。

体内のすべての臓器が出るような感覚に陥り、「下からじゃなくて上から生まれるのではないか」と不安になる

もともとは「出産って、赤ちゃんを子宮から出してあげること」くらいの漠然とした理解だったが、身体の内側から外側に出ようとする得体の知れないものすごいエネルギーに圧倒されることで、これまでの理解が間違っていたことを知る。「赤ちゃんがいろいろなものを引き連れて自ら出ようと火事場の馬鹿力を発揮し、母体と医師と看護師がそれに応えてあげる」というのが普通分娩の定義なのかもしれない。

いちばん苦しいのは「いきむこと」じゃなくて、それを「我慢しなくちゃならないこと」

いきむ瞬間がもっとも苦しいのかと思ったら、そうじゃなかったという声、多数。あまりに苦しくて「いきみたい、いきませて! 出ちゃうから受け止めて!」と思い、叫び声とともにその想いを伝える。出産のいきみの経験がなくても「いきみたい」と思えるということは、遺伝子的に「いきみとは何ぞや」ということを母体が理解しているからだろうか。

何でもいいから掴みたくなって、分娩台に掴むところがあっても気づくと別のところを掴んでいる

多くの分娩台には産婦が掴むためのハンドルがついているが、気づけばそこじゃないところを掴んでいたという声も多数。また、陣痛に耐えている間、力を逃すところがなくて壁を殴っていたという声もちらほら。いずれも後になって思い出し、渦中にいるうちは無自覚のケースが多い。

パートナーは分娩室の中でどこにいて何をしていたらいいかわからず、そのうちに奥さんの呼吸に合わせて呼吸し始め、過呼吸気味になる

立ち会うと決め、それなりに心の準備をしていたパートナーでも、いざその場になると、何をしていいかわからなくなり、分娩室の中でどこに立っていいかもわからなくなる。いきむタイミングが近くなると、産婦とともに呼吸をし始め、いずれ過呼吸のような症状になり、ひどい場合は酸欠や貧血で倒れることも。出産はいつもと異なる呼吸法になるし、出血も大量にするものである。心臓や肺が弱い人や、血を見ることが苦手な人は、そもそも立ち会うことをもっと慎重に検討するべきなのかも。

赤ちゃんを胸に抱いたときの第一声は「生まれてきてくれてありがとう」ではない

ドラマや小説の出産シーンでは「生まれてきてくれてありがとう」と母親が言っていたりするが、実際にそのままのセリフを言えることはめったにない。産んだ直後にはそんなに冷静かつロマンチックにはなれないのだ。口をついて出るのはせいぜい「はぁー」や「うわぁ」などの感嘆詞や、「出たー」 という状況描写、「どうもおつかれさまですー」という謎の挨拶言葉である。そして、生まれた瞬間に泣いているのは母親ではなくパートナーのほう、という不思議。

パートナーは赤ちゃんが生まれたら脱力するが、母親はそのあとまだ痛い

赤ちゃんが生まれたあとも、胎盤や臍帯を排出する「後産(あとざん)」、会陰裂傷を予防するための「会陰切開」部の縫合など、母体には痛みを伴う工程が続く。それからも、子宮内に異常が見られればさらに掻爬や吸引があり、それらを終えても腰痛や子宮収縮の痛み(後陣痛)など、母体の痛みにしばらく終わりはない。

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……などなど、出産時における現実をいろいろと書いたけれども、すべての “あるある” の背景に大前提として「これまでお腹のなかにいた赤ちゃんとの初めての対面」という最高のしあわせが存在しているんだよね。
苦しくたって、痛くたって、乗り越えられるのは、そのしあわせがあるからこそ。

出産とは命がけ。
何よりも大切なのはドラマや小説のように美しく産むことではなく、母子ともに安全・健全に産むことだもの。

最後の「母親はそのあとまだ痛い」という項目について、次回もうちょっと詳しいお話をするよ!

文:松本えつを

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◆ 文・ストーリー構成:松本えつを(役名:きのこ)

絵本作家・エッセイスト・コピーライター。2007年、8年間役員をつとめた出版社から独立。2008年、出産後の出血多量で死にかけるも一命をとりとめたことをきっかけに、女性が働きづらい社会を少しでも変えたいと一念発起。以降、ニッポンの女性アーティスト・クリエイターの自立支援を目的とした教育&プラットフォーム事業を立ち上げ、多くの女性たちの声を聞く。2014年、クリエイターを対象としたマンガコンテンツ “ クリエイターあるある in 日影工房 ” を企画・制作。これまでの著書の大部分は大人の女性を対象としたものとなる。代表作に『バンザイ』(サンクチュアリ出版)、『ユメカナバイブル』(ミライカナイ)等。

クリエイターあるある in 日影工房
ウーマンクリエイターズカレッジ「絵本の学校」

◆ 絵:ささはらけいこ(役名:もじゃ)

1984年北海道生まれ。金沢美術工芸大学油画専攻卒。東京クリエイターアカデミー(現ウーマンクリエイターズカレッジ)を経て、2010年よりイラストレーター・絵本作家として活動を始める。2014年から “ クリエイターあるある in 日影工房 ” の作画を担当し、「もじゃ」役として出演。2015年におまんじゅうのような子どもを出産し、テンヤワンヤで子育て真っ最中。
ささはらけいこポートフォリオサイト「星ふるモジャモジャの丘」

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