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【マンガ】前駆陣痛と本陣痛の違いは? 産む産む詐欺になるのが怖いあなたへ【松本えつをの子育てあるあるvol.34】

陣痛って、どんな感じでやってくる? 気づかないこともあり得るの?

自分自身の経験に加え、出産経験者からの多くの声によると、陣痛の痛み方は本当にさまざま。
「生理痛のような感じが徐々に強くなっていった」「激しい便意そのもの!」「痺れる感じが続く」「徐々に異世界にトリップしていく感じ」などなど。

有名な比喩として「鼻からスイカ」というものがあるけれど、アレはどちらかというと、赤ちゃんが産道を通り、この世に誕生するまさにその瞬間のことを言っているようにも感じる。

「鼻からスイカ」の影響によって多くの誤解を受けているかもしれない「陣痛」だが、正確には、陣痛は「赤ちゃんを産むために子宮が収縮することで生じる痛み」であり、赤ちゃんが誕生する瞬間の痛みだけを指すものではない。
陣痛とは「規則的に痛み始めてから生まれるまでの痛み全般」を指すものなのだ。

陣痛は、原則として、軽い生理痛のような弱い痛みから始まる。
その痛みは波のように、やってきては引いていく。
痛みの波が繰り返してやってくるたびに、徐々に強くなり、痛みと痛みの間隔もだんだんと狭くなってくる。
それが、オーソドックスな陣痛のパターンである。

初めての場合は特に「これは陣痛の痛みだろうか?」などと、「痛いけれども陣痛だと確信が持てない状態」に陥るケースも多いのではないだろうか?

実際に、「よくわからないけれど、鼻からスイカって感じでもなさそうだから、このまま様子を見よう」とのんきに構えていて自宅で出産してしまったという、それこそマンガみたいなケースもある。

「いやいや、言ってもそれはかなりレアなことじゃないの?」と思うかもしれない。
しかし、きのこが出産した産婦人科では、「つい2週間前も、自宅のトイレでお産が始まってしまったと(妊婦の母親から)電話があって、慌てて(自宅に)向かったんだよ〜。いや〜、大変だった。よくあるんだよねぇ」と医師が話していたのだから、少なくとも「かなりレア」ではない、むしろ「わりとあるある」だと思うのだ。

なので、陣痛らしき痛みに「まったく気づかない」ということはあまりなくても、「痛いけど、陣痛じゃないかも」と思っているうちに赤ちゃんが出てきてしまうということはあり得る、と言える。

ちなみに、ほかにも「玄関先で生まれてしまった」「タクシーの中で頭が出てきて大騒ぎになった」「街中で産んでしまった」などのケースも聞いたことがある。
いずれも周囲の支援により、赤ちゃんは無事だったそうだが……一歩間違えたら大惨事である。

前駆陣痛とは? 本陣痛との違いや見極めポイントは?

「陣痛」には、「本陣痛」「前駆陣痛」がある。

両方とも痛いのだが、前者は「本当に出産に至る陣痛」、後者は「そのうち痛みが遠のき、出産には至らない陣痛」、つまり「エセ陣痛」である(あるいは陣痛リハーサルみたいなものか)。

今回のマンガに出てきた陣痛は、後者の「前駆陣痛」である。

このふたつの決定的な違いは、「痛みが徐々に強くなっていき、間隔も徐々に狭くなっていくこと」であるが、痛みに対する感じ方がそもそも人それぞれ。
前駆陣痛でも痛みが徐々に強くなっていくように感じられることもあるし、間隔も一時的に狭くなっていくこともあるため、始まってすぐに判別することは至難の技なのだ。

それに、前駆陣痛を何度か経験する人もいれば、いきなり本陣痛がくる人もいるし、同じ妊婦でも、第1子と第2子で違うことはよくあることなので、「この痛みは本陣痛なのか、前駆陣痛なのか」ということの初期段階での見極めは、本人にとっても、電話連絡を受けた医師や看護師にとっても非常に難しいものなのである。

最終的には、医師が、内診をして子宮口の開きを確認し、妊婦のNSTを一定時間行い、さらにしばらく様子を見て判断するしかない。

「産む産む詐欺」は何回まで許される?

出産予定日が近くなると、医師や看護師から「陣痛の間隔が◯分を切ったら連絡してください」と言われる。

この「◯分」というのは、初産婦と経産婦でも異なるし、自宅から出産場所(産婦人科など)までの距離によっても、医師の方針によっても若干異なるが、多いと言われているのは「初産婦で10分、経産婦で15分」のようである。
※ 経産婦のほうがお産の進みが速く、陣痛開始から分娩までの時間が短い傾向があるため。

最近では、妊産婦向けのアプリも数多く出回っていて、陣痛の間隔を計るアプリも出ているのであらかじめダウンロードしておくと便利なはず。

前述したように、痛み方は人それぞれだし、のんびり構えていると自宅出産する事態になりかねないので、体感的な痛みの強さよりも「間隔が狭くなってきている」という事実があれば、かならずかかりつけの産院に連絡を入れ、指示を仰ぐようにしよう。

また、連絡を入れたときの対応がやたら冷静だからといって、「この冷静すぎる反応は……まだ様子見でいいってことかな?」なんて思わないように。
医師や看護師、産婦人科の受付の方などのプロの人は、毎日のように陣痛の連絡を受けて「慣れっこ」なだけ。どう考えても電話口でテンパるわけがない。

なお、同じような理由から、「本陣痛かと思ったら前駆陣痛だった……」という事態にも慣れっこ。
「お騒がせしたけど生まれませんでした」という「産む産む詐欺」だって、ある意味、いつものことではないだろうか。

大丈夫。「産む産む詐欺」は、何回まででも許される。
「自宅で産んじゃいました!」という非常事態になるリスクを考えれば、当然のことだろう。

***

出産という一大イベントには、ふたつの命がかかっている。
当然ながら、お母さんの命。そして、何よりも、赤ちゃんの命。

これまでずっと、定期的に妊婦健診に通い、医師や看護師や家族とともに見守ってきた愛しい赤ちゃん。
ここまできて、最後の最後で判断ミスをしてしまったら、いちばんかわいそうなのは赤ちゃんだよね。

変なプライドや遠慮は捨てて、「もしかして」と思ったらすぐに連絡をするようにしよう。
言うまでもなく、365日24時間いつでもかまわない。
出てくる赤ちゃんは日時を選べないのだから。

文:松本えつを

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◆ 文・ストーリー構成:松本えつを(役名:きのこ)

絵本作家・エッセイスト・コピーライター。2007年、8年間役員をつとめた出版社から独立。2008年、出産後の出血多量で死にかけるも一命をとりとめたことをきっかけに、女性が働きづらい社会を少しでも変えたいと一念発起。以降、ニッポンの女性アーティスト・クリエイターの自立支援を目的とした教育&プラットフォーム事業を立ち上げ、多くの女性たちの声を聞く。2014年、クリエイターを対象としたマンガコンテンツ “ クリエイターあるある in 日影工房 ” を企画・制作。これまでの著書の大部分は大人の女性を対象としたものとなる。代表作に『バンザイ』(サンクチュアリ出版)、『ユメカナバイブル』(ミライカナイ)等。

クリエイターあるある in 日影工房
ウーマンクリエイターズカレッジ「絵本の学校」

◆ 絵:ささはらけいこ(役名:もじゃ)

1984年北海道生まれ。金沢美術工芸大学油画専攻卒。東京クリエイターアカデミー(現ウーマンクリエイターズカレッジ)を経て、2010年よりイラストレーター・絵本作家として活動を始める。2014年から “ クリエイターあるある in 日影工房 ” の作画を担当し、「もじゃ」役として出演。2015年におまんじゅうのような子どもを出産し、テンヤワンヤで子育て真っ最中。
ささはらけいこポートフォリオサイト「星ふるモジャモジャの丘」

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