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【マンガ】妊婦はなぜ、むくむ? むくみを放置すると危険? 解消法の効果は?【松本えつをの子育てあるあるvol.33】

妊娠中に手足がむくむのはなぜ?

妊娠中は、出産に備えて、体内の血液量が通常時の1.4倍ほどになる(「妊娠中の体重増加の許容範囲は? 産後は元に戻るの?」という記事でも触れたよ)。
これは、血液が同じ濃度で増量しているというよりも、水分を足して薄めて総量を増やしているという感じ。

これが、むくみの症状と深く関係しているといわれている。
つまり、体内に蓄える水分がいつもよりも多いから、塩分の過剰摂取に気をつけたり、適度に身体を動かしたり……などと、いわゆる「普通に過ごして」いてもむくんでしまいやすい、ということだ。

身体の水分の増加以外にも、要因はある。
妊娠が進むにつれてお腹の赤ちゃんも子宮も大きくなること。
その圧力で周辺の血管が圧迫されるので、血流が滞ってむくむ……という症状がそれだ。

むくみがひどくなると危険? どの程度になったら注意信号?

むくみは、ほとんどの妊婦さんが経験するので、「ま、よくあることだからね」と片付けられてしまうケースもあるかもしれないけれど、度合いによっては医師に相談する必要が出てくるから要注意。

もっとも危惧されるのは、症状がむくみだけの「妊娠浮腫」にとどまらず「妊娠高血圧症候群(かつては妊娠中毒症と呼ばれていた!)」と診断がくだること。

妊娠高血圧症候群は、妊婦100人あたり3〜7人程度に見られ、重症化すると母子ともに命の危険にさらされることもある、恐ろしい病気なのだ。

妊婦健診の際に、血圧測定や採尿、むくみチェックなどを行う最大の理由は、妊娠高血圧症候群の発症や、その兆候を少しでも早く発見し、治療や予防を進めていくためであるといってもよいかと!

むくみが続いているうえに、血圧が妊娠前に比べて大幅に上昇し、「最高血圧130mmHg未満、最低血圧85mmHg未満」という妊娠中の血圧の正常値を上回っていたら、医師の指示に従って、食事その他の生活の仕方を改善していくように努めよう。

自分でできる「むくみ」対策

自分でできる「むくみの解消法」は、大きく分けて「食事改善」と「血行促進」がある。

そのうち、「食事改善」は、ひとことでいうと「塩分の摂取を抑え、カリウムを多く摂り、水分代謝をUPさせる」ということになるのだが、経験のうえでも、人から聞いた話のうえでも、「苦労して徹底しても効果には限界がある」といえる。

なぜなら、妊娠前にむくみの症状がなかった人が妊娠によってむくんでいるのだから、もともとの食事もわりと正常なはずなのよね。
それを、むくみ対策をしなきゃならないからといって、塩分を控えていくにもすぐに「ゼロ」という値がきてしまうし、がんばってカリウムが多い食べ物を積極的に摂っても、その効果は一時的。
ヘタをすると、「カリウムを摂取するために身体に入れた水分を、今入れたカリウムの力で排出する」という、コントみたいなことをやっておしまい、という結果になりかねない……(なんだか切ないね!)。

ま、なので、食事改善の余地があるなら、もちろんやったほうがいいんだけれども、多大なる効果を期待して極端に「仙人みたいな食生活」に変えるのはやめようね。きっとがっかりするから!

一方で、「血行促進」のためにできることは、さまざまなバリエーションがあるし、むくみに対する効果がいかようであっても、思わぬ副次的な効果がついてきたり、単に気持ち良かったりするので、オススメ。

まず、ひとつは、「できるだけ横になり、足を高くあげること」。
普段なら体内のポンプの働きで下から上に血液を押し上げてでも巡回させることができるのだが、妊娠中は体内の環境が変わるため、それがうまくできなくなるのだ。
そこで、重力について考えてみよう(考えるまでもないが)。あったりまえだけど、血液も地球の引力の影響を受けているので、足先にたまっている水分を上に向けて押し上げるには、地球の核に対して「より近い位置」に膝や腰を持ってくることで、滞っていた血液がうまく流れやすくなる。
妊婦が仰向けになって足先だけをあげる姿勢をとるのはただの拷問なので、クッションや枕をうまく使って明日の下に敷いて寝てみよう。

ふたつめは、「足先からふくらはぎに向けて、よくマッサージすること」。
故意に物理的な圧をかけて、下から上に血液や水分を流す作戦。
とうぜん、妊婦が自分の足をマッサージする姿勢をとるのはまたもや拷問なので、パートナーにやってもらうか、マッサージグッズを活用しよう。
ただし、むくみがひどくなりすぎると、触るだけで痛いので不向き。
いやいや、そんな重度の場合は、すぐに医師に相談だ!

3つめは、「靴下やレッグウォーマー、足湯などで、足を温めること」。
言わずもがな、「冷えは妊婦の大敵」。
夏場であろうと、足元は冷やさないように靴下やレッグウォーマーを着用するのがベター。
足湯もいいけれど、専用のグッズがない場合、冬場はすぐにお湯が冷えて水になり、うかうかしていると余計に冷えてしまうこともあるので注意。
きのこはうかうかしやすいので、1回で懲りた記憶があるなぁ……。

4つめは、「半身浴で新陳代謝を高めること」。
これは、やや手間ひまがかかるけれど、なんやかんやいっても全身に作用させる方法なので、それなりに効果大。
妊娠時に限らず、代謝UPは美容の味方だし、できるなら毎日継続しよう。
出産後はゆっくりお湯に浸かるひまもなくなってしまうから、今のうちだよ!

***

自分の足がむくんでいる姿を見ると、けっこうグロテスクだから、多少なりともショックを受けるよね。
でも、そんなときこそ、冷静で賢明な判断をできるよう、妊娠中の身体の変化についての知識を蓄えておこう。

また、蓄えた知識だけに頼るのは危険。
おかしいな? と感じたら、些細なことでも医師に相談することをオススメするよ。
むくみは1日の中でも変化するから、ひどい症状が出たときは写真にとっておき、診察のときに持っていくようにしようね。

文:松本えつを

▼松本えつをの子育てあるある▼

◆ 文・ストーリー構成:松本えつを(役名:きのこ)

絵本作家・エッセイスト・コピーライター。2007年、8年間役員をつとめた出版社から独立。2008年、出産後の出血多量で死にかけるも一命をとりとめたことをきっかけに、女性が働きづらい社会を少しでも変えたいと一念発起。以降、ニッポンの女性アーティスト・クリエイターの自立支援を目的とした教育&プラットフォーム事業を立ち上げ、多くの女性たちの声を聞く。2014年、クリエイターを対象としたマンガコンテンツ “ クリエイターあるある in 日影工房 ” を企画・制作。これまでの著書の大部分は大人の女性を対象としたものとなる。代表作に『バンザイ』(サンクチュアリ出版)、『ユメカナバイブル』(ミライカナイ)等。

クリエイターあるある in 日影工房
ウーマンクリエイターズカレッジ「絵本の学校」

◆ 絵:ささはらけいこ(役名:もじゃ)

1984年北海道生まれ。金沢美術工芸大学油画専攻卒。東京クリエイターアカデミー(現ウーマンクリエイターズカレッジ)を経て、2010年よりイラストレーター・絵本作家として活動を始める。2014年から “ クリエイターあるある in 日影工房 ” の作画を担当し、「もじゃ」役として出演。2015年におまんじゅうのような子どもを出産し、テンヤワンヤで子育て真っ最中。
ささはらけいこポートフォリオサイト「星ふるモジャモジャの丘」

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