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【マンガ】妊娠後期に足の付け根が痛むのはなぜ? 和らげる方法は?【松本えつをの子育てあるあるvol.30】

出産が近づくと股関節が外れそうな感覚があるってホント?

普段、街を歩いていて出会う妊婦さんの歩き方に、どことなく共通点があるように感じたことはないだろうか。

たとえば、空いている方の手をお腹に添え、背筋は反り気味になり、かすかに左右に揺れながら、他の人の2倍くらいゆっくり歩く感じ……。

そのような歩き方をしている妊婦さんのほとんどは、腰回りにマイナートラブルを抱えていると考えていいと思う。

未経験者にはあまり広く知られていないが、妊娠中に足の付け根が痛くなったり、股関節が外れそうな感覚が襲ったりする現象は総じて妊婦さんの半数以上が経験しているといえる程度にメジャーだ。

もっとも痛みが出やすいのは、妊娠後期の「お腹がマックスで大きくなる頃」。
妊娠後期は、妊婦健診で「妊娠高血圧症候群にならないように、毎日できるだけたくさん歩きましょう」などといわれる時期である。

「歩かなきゃ!」という一心で頑張って歩くものの、日々増してくる痛み。その痛みからかばうように自ずと試行錯誤する身体。

そう、その結果、だいたいみんな同じような歩き方になってしまうのだ。
ユッキーのように「歩けない」という表現も決して大げさではない。

もちろん、そのプロセスを知らずして、デリカシーのない言葉をかけてしまうのはご法度。
パートナーが妊娠中の人は普段よりも言葉選びに気を配るべし。

足の付け根の痛みの原因を知ろう

足の付け根があまりに痛いと、「やだこれ、何かおかしいんじゃないかしら!?」と心配になることもあるよね。

でも、過度な心配は不要。なぜなら、メカニズムを考えれば、それはそこそこ自然なことだから。

妊娠後期に足の付け根が痛くなる理由の大半は「身体が出産に備えて準備を進めているため」である。

母体は、赤ちゃんが産道を通ってこの世に降り立つときにスムーズに出られるように身体をやわらかくしておかなければいけない。

そこで、いざというときのために妊婦さんの体内ではリラキシンと呼ばれるホルモンが多く分泌され、そのリラキシンが子宮の左右にある靭帯をゆるめるよう働きかけるというわけだ。

しかも、それだけじゃない。加えて、大きく、重くなった子宮は、子宮の周辺にある骨や関節に負荷をかける。

さらに、長時間立ち続けたり歩き続けたりすることで、重力と振動が影響し、より一層、骨や関節をいじめる。

あぁ……これじゃ、痛いわけだ……。

「痛くなるのは出産の準備だし、自然なことなんだね」なんてわかっていても、さすがに痛みがひどすぎて歩けなくなるのは困りもの。

痛くなり始めたとき、痛くなってしまったあと、両方に効果がある方法を知っておきたいものだよね。

足の付け根の痛みの予防と対策

妊娠後期の足の付け根の痛みを予防したり和らげたりするためにできることをまとめてみたよ。

◆ 歩き方にもうひと工夫してみよう

歩くときに、空いている方の手でお腹を下から上に向かってやさしく支えながら、つま先を心持ち外側に向け、脚の内側の筋肉に体重を乗せるように歩いてみよう。
ポイントは、マンガに出てきたユッキーのように「しこを踏む感じのガニ股」にはならないようにすること! 
つま先を外側に向けるのは骨盤を間接的に支えるためであり、「どすこいどすこい」とするためではない。
しこを踏んで膝を大きく曲げすぎると骨盤の開きに拍車をかけかねない。
それに、「どすこい」からの横揺れは、振動によって痛みが増長させることもあるので注意。
しこは踏まずに、静かに穏やかに歩こう。

◆ ストレッチを習慣にしてみよう

先に触れたように、妊娠後期は妊婦健診で「妊娠高血圧症候群にならないように、毎日できるだけたくさん歩きましょう」などといわれる時期。
とはいえ、痛みが出始めてしまってからは、長時間歩くのはしんどい。
また、痛みが激しくなってからではもはや拷問である。
そこで、激しい運動ではなく、筋肉や関節を程よく伸ばす「ストレッチ」を日常生活に取り入れるようにしよう。
ストレッチはとにかくゆっくり、しっかりと呼吸をしながら行うことが大事。
リラックスできる音楽をかけながら、股関節周りをゆっくり伸縮させてみよう。

◆ 骨盤サポートベルトを使ってみよう

ホルモンの影響で靭帯がゆるむことのツケは、骨盤の開きを介して股関節にまわってくる。
そこで、骨盤を物理的に支えるアイテムの「骨盤サポートベルト」を取り入れることで股関節の痛みを軽減させようという考え方である。
多種多様の骨盤サポートベルトが商品化されているが、きのこが妊娠時、産婦人科の看護師さんからひたすら勧められていたのは「トコちゃんベルト」だった。
着脱は正直面倒臭いけれど、激痛に悶えるよりマシである。
また、せっかくベルトを新調するなら産後も使えるタイプを購入するのが吉だ。

◆ マタニティ整体に行ってみよう

自然の摂理とはいえ、あまりに痛みがひどいときは、まず、担当医に相談しよう。
そこで異常がないと「異常はないよ! 痛いだけだから我慢してね」と笑顔で言われるかもしれない。
異常がないのは嬉しいことだけど、なんら手立ても打たれないとなると、少し悲しい。
そんなときは、勇気を出してマタニティ整体にかかってみよう。
痛みの原因になっている骨盤をハンドパワーで(※ 比喩でっす)矯正してくれるよ!
ただし、担当医には整体にかかる前に笑顔で許可をいただこう。

***

妊娠後期……。

「あとちょっとで赤ちゃんに会える」なんていうと、傍目には本当にただただ幸福な時期のように聞こえるかもしれないけれど、妊婦本人は密かに、痛いし怖いし不安だし必死だったりするよね。

でも、ダイジョウブ! きっとここはひらりと乗り越えられる。
だって、まだまだこれからだから! この先に、もっと痛いし苦しいし大変なことがいっぱい待っていて、0.00001%でもヤバくなるリスクがあるとしたら、せいぜいそのときだから!

……って、なぐさめ下手にもほどがあったかな。

頑張ろうぜ! ニッポンの女子!

文:松本えつを

▼松本えつをの子育てあるある▼

◆ 文・ストーリー構成:松本えつを(役名:きのこ)

絵本作家・エッセイスト・コピーライター。2007年、8年間役員をつとめた出版社から独立。2008年、出産後の出血多量で死にかけるも一命をとりとめたことをきっかけに、女性が働きづらい社会を少しでも変えたいと一念発起。以降、ニッポンの女性アーティスト・クリエイターの自立支援を目的とした教育&プラットフォーム事業を立ち上げ、多くの女性たちの声を聞く。2014年、クリエイターを対象としたマンガコンテンツ “ クリエイターあるある in 日影工房 ” を企画・制作。これまでの著書の大部分は大人の女性を対象としたものとなる。代表作に『バンザイ』(サンクチュアリ出版)、『ユメカナバイブル』(ミライカナイ)等。

クリエイターあるある in 日影工房
ウーマンクリエイターズカレッジ「絵本の学校」

◆ 絵:ささはらけいこ(役名:もじゃ)

1984年北海道生まれ。金沢美術工芸大学油画専攻卒。東京クリエイターアカデミー(現ウーマンクリエイターズカレッジ)を経て、2010年よりイラストレーター・絵本作家として活動を始める。2014年から “ クリエイターあるある in 日影工房 ” の作画を担当し、「もじゃ」役として出演。2015年におまんじゅうのような子どもを出産し、テンヤワンヤで子育て真っ最中。
ささはらけいこポートフォリオサイト「星ふるモジャモジャの丘」

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