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【マンガ】妊娠線って予防できるの? 出始めたら一気に広がる? 脱・完璧主義者のススメ【松本えつをの子育てあるあるvol.29】

妊娠線って何? なぜできるの?

妊娠線とは、ひとことでいうと、妊娠中にできる肉割れのこと(ひとことで言い過ぎ!)。

そもそも肉割れとは、急激に太ったりすると出てくる皮膚のひび割れのようなもの。

「皮膚」は、外側から順に「表皮」「真皮」「皮下組織」という3層で構成されている。
そのうちの「表皮」は伸縮しやすいけれど、「真皮」は表皮に比べて伸びが悪い。

短期間で急激に人間の体積が大きくなり、皮膚表面の面積が広くなると、それに伴って表皮が伸びるわけだが、中間層の真皮はその伸びに追いつくことができず、亀裂が入った状態になってしまう。

その結果、いちばん外側にもマスクメロンの皮あるいは不規則な網タイツのような模様が透けて現れる……というのが肉割れが生じるメカニズムだ。

妊娠時は短期間で急激にお腹やおっぱいが大きくなるため、とくに症状が出やすくなる。
中でも妊娠中期以降の時期、お腹が大きくなればなるほど顕著に現れやすい。

また、意外と知られていないが、肉割れは、れっきとした皮膚の病気。
ただし、見た目が痛々しくなるということ以外に困る点がほとんどないため、一度出てしまったら改善していくことを諦めるという人も多い。

妊娠線予防の方法とその効果は?

残念ながら、妊娠線を100%完全に予防できる方法は、今のところないらしい(涙)。

しかし、妊娠線を軽減するためにできる対策はある。
それは、大きくわけて2つ。

1つ目は、そもそも皮膚の表面積を極端に増やさないように厳しく体重管理をする方法。
2つ目は、伸びの悪い真皮の層に亀裂が入るのを少しでも抑えるために徹底的に保湿をする方法。

これらが多少なりとも有効だということは、妊娠線が生じるメカニズムを考えればわかりやすいよね。

上記2つ目に記した「伸びの悪い真皮の層に亀裂が入るのを少しでも抑えるため」に、日々、保湿クリームを小まめに塗っているという妊婦さんはひじょうに多い。

そして、その風習を後押しするように、国内外問わず、あらゆるメーカーが多種多様の妊娠線予防クリームや保湿クリームを発売している。
(「妊娠線予防クリーム」でググってみよう!)
これだけ種類があると、どれを使っていいかわからないと思うのが普通なはず!

ほとんどの妊婦さんがクリームを選ぶときに迷うのだが、そこで困るのは「妊娠線予防クリームほど効果を読みづらいものはない」という現実があることだ。

だって、まず、体質に個人差があるし、その時点でクチコミも鵜呑みにはできない。

さらに、自分の体質を把握できていても、妊娠時のお腹の出方は同じお母さんでもひとり目とふたり目でぜんぜん違うので、ひとり目のときに効果てき面だったクリームを使っていてもふたり目のときは無効ってこともあり得る……。

じゃあ、妊娠中にためしに2ヶ月ずつ使ってみよう……っていう作戦も、同じ子の同じ妊娠週数なんて2度と来ないわけだから、フェアな比較はできないし!

これはもう「ちょっと、やだ、どうしろっていうのよっ」という状態だ。

ただ、ひとつだけいえるのは、「クリームの値段の高さと予防効果の高さはあまり比例しないんじゃない?」ってこと。

なぜなら、クリームの値段の中にはクリーム本体の製造にかかる材料費や設備費や人件費以外にも、それをPRするためにかかる広告費・販促費などが加わっているということが十分に考えられるからだ。

それらの事情や、妊娠線が発生するメカニズムなどを考慮すると、「スキンケアオイルやハンドクリームなどほかの製品をトラブルなく使用した経験があり、よく知っているメーカー」が出している妊娠線予防クリームからチョイスしたほうが安心であり、最初は大容量のものではなく、小さいサイズのものを購入して使用感にトラブルその他の不満事項がないかを試すべきである……というのが、きのこの持論である。

また、いずれも保湿機能さえ満たしていれば「塗らないよりはマシ」レベルでの効果は見込めるはずだが、100%完全な効果が保証されることは「ない」ので、「もしダメでも納得できる金額以上の投資は避けたほうが賢明」だ。

妊娠線は出始めると一気に広がる? 一度出たら一生消えない?

妊娠・出産を経験した女性から、よく「妊娠線は出始めると一気に広がって産むまで止まらない」って嘆きの声を聞く。
たしかにこれは、あながちデタラメでもない。

しかし、妊娠線に限ったことではないけれど、「目視確認できるレベルになった途端に一気に広がり始めた」と感じる理由のひとつには「自分が気になり始めたから」という意識のフィルターがかかっているというものもあるので、出始めた途端にケアを投げ出すというのはとってももったいない気がするよ。
それに、妊娠線が現れ始めてからでも、一気に広がるスピードを抑えるための努力はできるのだから、そこは慌てちゃダメなんじゃないかな。

多くの人が勘違いしている恐れがあるが、妊娠線は「まったくない」と「はっきり出ている」の2種類ではない。
色の濃淡や色相の変化でいうところの「グラデーション」のように、「ゼロと100の中間の度合い」というものが無限に存在するわけだ。つまり、「白黒はっきり」ということじゃないのだ。

だから、もし、ちょっと出始めてしまったら、そんなときこそ投げ出さずに、それまでより塗る頻度を増やしたり、丁寧に塗り込んだり……などと、一層、ケアに手間暇をかけてみよう。

そして、産んだあと、妊娠線の跡が思ったより濃く残ってしまっていたら、「妊娠線を薄くするためのケア」も存在するので、そちらに移行しよう。
手に負えないと感じた場合は、皮膚科や美容外科に相談するという手段もある。

妊娠線に関しては、とにかく、簡単に投げ出してやけっぱちにならず、冷静・賢明に対処することだ。
もちろん「子どもを産んだ証だし、今後水着にもならない予定だし、ま、いっか!」って明るく潔く諦めることも選択肢のひとつだが。

完璧主義者のユッキーに、もう一度言おう。

妊娠線は、出たら一生消えないっていうけど、ゼロ100じゃないから!
すごいはっきり広範囲にできる妊娠線もあれば、薄めに狭い範囲にできる妊娠線もあるし、その間もあるし、いろいろだから!
たしかに出始めると悪化するまで早いっていうけど、それ、たぶん「感じ方のフィルター」かかってるから! 出始めたら終わりじゃないから!
出始めてからも根気よく努力したり気をつけたりすることで、被害を最小限に抑えることができるし、軽いやつは時間が経てばほとんど見えないくらい薄まっていくことだってあるから!
ユッキー、本当は賢いのに、妊娠線がちょっとでも出たら「もうダメだ~!」って自暴自棄になるなんて超バカだよ。それまでの努力がもったいないよ!

***

「ただの先入観だったらものすごいゴメンナサイ」と前置きするが、ニッポンの女性たちには比較的、マジメで、ガマン強くて、お人好しで遠慮がちな傾向があるように思える。
ユッキーのような完璧主義者の数も諸外国に比べると多いんじゃないかな……と。

でもね、妊娠・出産・育児の過程で、それらが災いして生きづらくなる瞬間はいっぱいあるから、その序盤である妊娠段階から少しずつ、完璧にできない事柄や完璧にできない自分自身を許して受け入れてあげるクセをつけられたらいいね。ほんとに。

ちょっとずつね。ちょっとずつ。

文:松本えつを

▼松本えつをの子育てあるある▼

◆ 文・ストーリー構成:松本えつを(役名:きのこ)

絵本作家・エッセイスト・コピーライター。2007年、8年間役員をつとめた出版社から独立。2008年、出産後の出血多量で死にかけるも一命をとりとめたことをきっかけに、女性が働きづらい社会を少しでも変えたいと一念発起。以降、ニッポンの女性アーティスト・クリエイターの自立支援を目的とした教育&プラットフォーム事業を立ち上げ、多くの女性たちの声を聞く。2014年、クリエイターを対象としたマンガコンテンツ “ クリエイターあるある in 日影工房 ” を企画・制作。これまでの著書の大部分は大人の女性を対象としたものとなる。代表作に『バンザイ』(サンクチュアリ出版)、『ユメカナバイブル』(ミライカナイ)等。

クリエイターあるある in 日影工房
ウーマンクリエイターズカレッジ「絵本の学校」

◆ 絵:ささはらけいこ(役名:もじゃ)

1984年北海道生まれ。金沢美術工芸大学油画専攻卒。東京クリエイターアカデミー(現ウーマンクリエイターズカレッジ)を経て、2010年よりイラストレーター・絵本作家として活動を始める。2014年から “ クリエイターあるある in 日影工房 ” の作画を担当し、「もじゃ」役として出演。2015年におまんじゅうのような子どもを出産し、テンヤワンヤで子育て真っ最中。
ささはらけいこポートフォリオサイト「星ふるモジャモジャの丘」

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