妊婦はみんな、増えゆく体重の「内訳」を知りたいのだ!
妊娠中に体重が増えるのは、もちろん、赤ちゃんが大きくなっているから。しかし、赤ちゃんそのものだけではない。
当然ながら、妊娠中の体重増加の理由には、お腹の中で赤ちゃんが育つこと以外に、母体由来のものがいくつもあるのだ。
妊婦側で「それ」を把握していないと、赤ちゃんそのものの体重だと思われる分を上回る増量は、すべて不安につながってしまうだろう。
そこで、例により個人差があることはさておき、赤ちゃんの出生時の体重が 3 kg と仮定して、増量要因をリストアップしてみる。
(1) 赤ちゃんそのもの 3 kg 程度
(2) 羊水・胎盤 1 kg 程度
(3) 子宮・おっぱい・血液(※) 4 kg 程度
(4) その他、水分・脂肪分 X kg 程度
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合計 8 kg + X kg 程度
※ 出産時に備え、母体の血液総量は、通常(約4リットル)の1.4倍程度になる。
この増量の根拠を見ると、8 kg 程度の増量は、妊娠後によほど痩せてしまったというケースを除き、当たり前。むしろ必要な分である。
また、「(4)その他、水分や脂肪分」の X kg も、妊娠中のホルモンの働きによって、ある程度は免れることができない増量分だ。
……ということは、少なくとも、どんな体型の妊婦さんでも、どうやったって 8 kg や 9 kg 程度は増えるってことじゃん。ちょっと安心。
あれ? でも、そういえば、もともと太り気味の人は「5 〜 7 kg 程度の増量に抑えましょう」だったはず。
……え?
(1)〜(3)は普通に妊娠が進んでいけば絶対に増えるはずの重量だよね?
(4)だって、ある程度は免れることができないってさっき言っていたよね?
しかも、(3)のおっぱいや血液、(4)の水分や脂肪分にいたっては、もともとぽっちゃりしている人ほど順調に増えがちなイメージあるけど?
……ん? これは、つまり、もともと太り気味だった妊婦さんは、どうやったって増える 8 kg を受け入れた上で、最終的に「5 〜 7 kg 程度の増量に抑える」ことが求められるわけで、そうなると、赤ちゃんや羊水や胎盤や血液の増量分も打ち消すくらい、あの手この手で脂肪や水分を減らさないといけないってこと?
……ですよね?
そうなのだ。
産婦人科でしれっと忠告される「妊娠中の増量許容範囲」は、もともと太り気味な人にとって、すごく残酷な数値なのである。
ホルモンの働きによって「空気だけ食べていても太っちゃう(※ 比喩でっす)妊娠時期」に、赤ちゃんの栄養をしっかり確保しながら、脂肪だけを選んで減らしていくことを余儀なくされるなんて! これがどれだけ残酷なことか、わかります? 奥さん!
ちまたには妊娠中のダイエットメソッドも数多くあふれているけれども、それを片っ端から取り入れたところで、「5 〜 7 kg 程度の増量に抑える」なんて至難の技ですよ。
それに、「赤ちゃんにはしっかり栄養を、自分自身は痩せなきゃ!」っていうことに囚われて、メンタル的にしんどくなって病んでしまっては目も当てられない!
その事態を阻止するには、妊娠前の普段から、太りすぎないように体重管理をしておくことしかないのかもしれない……。
もし、準備が間に合わなかった場合、勝負はせめて、妊娠初期の頃かな、と思う。
初期の頃は、まだ赤ちゃんそのものも小さく、必要とする栄養素の量も、カロリーも少なくてよいから、比較的コントロールしやすいためだ。
後期になって追い詰められないためにも、せめて妊娠がわかったらすぐに、間食をやめたり、こってりした食事の頻度を減らしたりなどの努力をしていこう。