良かれと思って妻に言ってはいないか? 優しい夫が発する“地雷ワード”4選
妊娠・出産において、女性のホルモンバランスはジェットコースターの高低差のように変化するため、情緒もきわめて不安定。
ゆえに、夫がまったく悪気なく……いや、むしろ妻を気遣って発したひとことが、怒りを誘発してしまうことも、悲しきかな、多々ある。
ここでは、「優しい夫」が発してしまいがちな“地雷ワード”を4つ、妻側の心の内(注:やたら暴言調)を添えて紹介しよう。
どれも、妻の精神状態が健全だったらスムーズにまかり通るようなセリフだよ!
《 地雷ワード1 》「心配ないって! なるようになるよ!」
* 妻から子育てについて相談されたとき、励ますために返したセリフ。
いや、なるようにならねえから! これまで何とかなってきたって? そうですよ。何とかしてきたのはわたしですがね。それ知ってて言ってるんですかね。それともあなたは「親はなくとも子は育つ」って根拠をもってわたしを励ましているつもりですかね。いやいや「育てたように子は育つ(By.相田みつを)」んだよ!……っていうか、そもそも何、その、まるで他人事のような、無気力なセリフは。仏か!
《 地雷ワード2 》「君の好きなようにしていいんだよ」
* 妻から「あなたはどうしたい?」と意見を問われたとき、愛を込めて返したセリフ。
オマエには意志がないのか。それとも、考えることを放棄しているのか。普段の行動からして後者だろ。怠慢だ。
《 地雷ワード3 》「君がしっかり者で助かるよ!」
* 婚約以来、役所の手続きや近所づきあいなど、大変なことを一手に担ってくれている妻に、労いと感謝の気持ちを込めて発したセリフ。
好きでしっかりしてるんじゃねえんだよ。しっかり者にならざるを得ないんだよ! 褒めるくらいなら行動しろ。
《 地雷ワード4 》「(仕事が調整できたら)たぶん大丈夫」
* 産前の妻から「いざというときには連絡するから、◯日から◯日までは予定空けておいて」と言われたときの返事。
「たぶん」じゃねえぇぇぇぇーーーー!!! こっちは「なるべく」とか「できるだけ」とかいう曖昧な世界じゃなくて「絶対に」って世界で、文字通り命がけで産むんだよ! そっちも命がけで約束守れよ(怒)。
以上です。自分がスッキリするために、言葉を荒らしてしまいました。深くお詫びします。
しっかり者の妻と優しいばかりの夫に告ぐ。「助けてあげるんじゃない。一緒にやるのだ!」
共働き世帯が増えた現代。
夫が社会という戦場で戦い、妻が家庭を守る……といった暗黙のルールが適用されている夫婦でない限り、家庭のことを片方に任せっきりにしてしまうと、いずれふたりの関係性に亀裂が生じてしまう。
そんなことを踏まえ、今では多くの夫が、妻に対しての言動にそれなりに配慮している、はず。
しかし、ここで注意したいのは、「(妻の役割を)手伝ってあげる」というように、「◯◯してあげる」という意識を持たないようにすることだ。
……え? 何で?
理由は単純で、「手伝う」「◯◯してあげる」という気持ちや行動には、そもそも先の「夫が社会という戦場で戦い、妻が家庭を守る……といった暗黙のルールが適用されている」という前提が必要だから。
その前提がないならば、「手伝う」「◯◯してあげる」という気持ちや行動は適さなくなってしまう。
ここで求められるのは、「自分ごと」としての意志をもった積極的な行動である。
ちょっとでも相手に依存しているニオイを出したら、多くの場合、アウトだ。
……うわっ、面倒くさっ!
……うん。やっぱり面倒くさいよね! そう、ホルモンバランスが変化しているときの女性は、正直、面倒くさいんです。でもそれ、受け入れるしかないんです。だって、こんなに時代が変わっても、妻の代わりに夫が産むことはできないんだから。……っていうか、受け入れたらけっこうラクになるよ!
住まいのこと、家事のこと、それぞれの親のこと、ましてや出産や育児のこと……。夫婦である以上、それらはどちらか一方じゃなくて、ふたりともに深く関係すること。
だから、助けてあげるんじゃなくて、一緒にやるものなのだ。
むしろ、そうだと割り切って、妻の反応を楽しむくらいがちょうどいい。
文:松本えつを
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◆ 文・ストーリー構成:松本えつを(役名:きのこ)
絵本作家・エッセイスト・コピーライター。2007年、8年間役員をつとめた出版社から独立。2008年、出産後の出血多量で死にかけるも一命をとりとめたことをきっかけに、女性が働きづらい社会を少しでも変えたいと一念発起。以降、ニッポンの女性アーティスト・クリエイターの自立支援を目的とした教育&プラットフォーム事業を立ち上げ、多くの女性たちの声を聞く。2014年、クリエイターを対象としたマンガコンテンツ “ クリエイターあるある in 日影工房 ” を企画・制作。これまでの著書の大部分は大人の女性を対象としたものとなる。代表作に『バンザイ』(サンクチュアリ出版)、『ユメカナバイブル』(ミライカナイ)等。
◆ 絵:ささはらけいこ(役名:もじゃ)
1984年北海道生まれ。金沢美術工芸大学油画専攻卒。東京クリエイターアカデミー(現ウーマンクリエイターズカレッジ)を経て、2010年よりイラストレーター・絵本作家として活動を始める。2014年から “ クリエイターあるある in 日影工房 ” の作画を担当し、「もじゃ」役として出演。2015年におまんじゅうのような子どもを出産し、テンヤワンヤで子育て真っ最中。
* ささはらけいこポートフォリオサイト「星ふるモジャモジャの丘」