もし「ゲス不倫」をされてしまったら?
前項であげたようなことをしていたにもかかわらず、哀しきかなゲス不倫をされてしまったら……。
残念ながらその際に残された選択肢は、わずかしかない。
「今回ばかりは許し、改善してもらうことを求める」か、「諦めて別れることを検討する」かの二択だ。
なぜなら、妻がこれまで精一杯の情報共有をしてきたにもかかわらず不倫をするということは、夫がそれに対して罪悪感を持てなかったか、持っていても誘惑に負けてしまったかのどちらかだから。
つまり、努力の甲斐なく、そこに母性のようなものはさして形成されなかったということ。
とても残念だけど、そこには絶対的な信頼関係は、ない。
妊娠中の時点で壊れてしまっている信頼関係を、出産・育児期間を通して立てなおしていくことは非常に難しいと考えられる。
ただ、浮気や不倫にはそれぞれ「程度」というものがある。
ゲス不倫に至っても、それは同じ。
もし、程度が軽く、わずかでも望みがあると感じるのなら、これを機にしっかりと話し合って改善していくのもひとつの賢明な選択なのかもしれない。
生まれてくる赤ちゃんにとっての実の父親はたったひとり、現在のパートナーだけなのだから。
赤ちゃんのためにも大切な “妊婦の心得”
妊娠中は特に、ゲス不倫のニュースに過敏になってしまうかもしれない。
しかし、芸能人や政治家などのゲス不倫情報ばかりに耳を傾けていると、そのうちに「妻が妊娠中に夫は不倫をするものだ」というネガティブなイメージが刷り込まれるようになり、さらには「夫もわたしが妊娠中に不倫をするに違いない。どうしよう……」という、本来なら持たなくてもいいはずのムダな不安を抱くようになってしまう。
これはまさに、ユッキーのように、「根拠もなく大切な人を疑う状態」だ。
前回述べたように、大切な人を疑ったり、大切な人に裏切られたりすることで受けるストレスは大きい。
そして、過度なストレスは母体にも胎児にも悪影響を及ぼす。
だからこそ、妊娠中の女性には、実際に起きてもいないのにムダに夫に対して疑心暗鬼にならないように、「ゲス不倫報道を気にしない強さ」を持ってほしい。
そして、過度に気にしないためにも、マスコミがなぜそのようなネタを好んで発信するのか、その理由を考えてみてほしい。
マスコミがゲスなネタを好んで発信する理由……。
答えは単純である。そういったネタのほうが売れるから。それだけ。
ひとつのゲス不倫の影に、数え切れないほどのしあわせで平和な夫婦や家族の実態がある。
でも、それらをいちいち報道するより、ゲスで不幸なネタを報道するほうが売れるからそうする。
それだけのことである。
妊娠中の女性がその原理原則を理解し、「目や耳に飛び込んでくるゲスなニュースは現在の夫婦の象徴ではなくて珍しいケースなんだよ!」と、自らに言い聞かせることが、じつはけっこう大事なのではないかな。
そう。それを伝えるための、せめてもの足しになればと、今回のマンガの顛末はありました。
ユッキーの夫は、疑惑に対して……「シロ」!
フツーに「ゲス不倫なんてしないよ」というスタンスの夫はけっして珍しくない。
むしろ、それこそが夫婦の実態なのかもしれないよ。
文:松本えつを
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◆ 文・ストーリー構成:松本えつを(役名:きのこ)
絵本作家・エッセイスト・コピーライター。2007年、8年間役員をつとめた出版社から独立。2008年、出産後の出血多量で死にかけるも一命をとりとめたことをきっかけに、女性が働きづらい社会を少しでも変えたいと一念発起。以降、ニッポンの女性アーティスト・クリエイターの自立支援を目的とした教育&プラットフォーム事業を立ち上げ、多くの女性たちの声を聞く。2014年、クリエイターを対象としたマンガコンテンツ “ クリエイターあるある in 日影工房 ” を企画・制作。これまでの著書の大部分は大人の女性を対象としたものとなる。代表作に『バンザイ』(サンクチュアリ出版)、『ユメカナバイブル』(ミライカナイ)等。
◆ 絵:ささはらけいこ(役名:もじゃ)
1984年北海道生まれ。金沢美術工芸大学油画専攻卒。東京クリエイターアカデミー(現ウーマンクリエイターズカレッジ)を経て、2010年よりイラストレーター・絵本作家として活動を始める。2014年から “ クリエイターあるある in 日影工房 ” の作画を担当し、「もじゃ」役として出演。2015年におまんじゅうのような子どもを出産し、テンヤワンヤで子育て真っ最中。
* ささはらけいこポートフォリオサイト「星ふるモジャモジャの丘」