化学流産とは、流産というより妊娠未達といえるんじゃない?
昔と今の違いからもわかるように、化学流産とは、そもそも身体側で密かに行われているプログラムのひとつ。
「チャンスを得たのだから、ダメかもしれないけれども精一杯、頑張ってみる!」
「途中までうまくいった! でも……惜しいところでうまくいかなくなった」
「今回はダメだったけど、人生、七転び八起き! またチャレンジするぞ!」
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いつか成功するために、こうしたトライアルを何度も繰り返す。
こうした身体側の密かな努力の過程は、かつては本人にバレずに進められていたものだったのに、それが時代の進化とともに、あっさり全部バレることになってしまっただけの話。
その露呈に伴って、心を傷める人も増えたのである。
そんな状況の片棒を担いでいる(と思う)のは、症状に対する名前のつけ方やカテゴリーの分類だ。
「化学流産」とハッキリと言い張ることにより、妊娠継続の段階に進めなかった状況は、明らかに「流産のひとつ」として認識されることになった。
※ 実際、医学的には化学流産は流産に「含まない」らしい……ので、もうワケがわからない!
妊娠や流産などのジャンルに関わらず、病名や症状を表す名称はたびたび不適切を指摘され、一般的にも医学的にも改名されることも多い。
ならば、いっそのこと「化学流産」という呼び方も変えてほしいな……と、きのこは考えたのである。
とはいえ、こればっかりはその次にどこにどう訴えかけたらいいかわからない。
マンガの中で雄叫びをあげるだけしかできないことに、無力さを実感する。
せめて、ここで言わせてほしい。
「化学流産は、流産というより妊娠未達という意味合いのことじゃないのか! ちがうか!? 名前変えろ!」
文:松本えつを
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◆ 文・ストーリー構成:松本えつを(役名:きのこ)
絵本作家・エッセイスト・コピーライター。2007年、8年間役員をつとめた出版社から独立。2008年、出産後の出血多量で死にかけるも一命をとりとめたことをきっかけに、女性が働きづらい社会を少しでも変えたいと一念発起。以降、ニッポンの女性アーティスト・クリエイターの自立支援を目的とした教育&プラットフォーム事業を立ち上げ、多くの女性たちの声を聞く。2014年、クリエイターを対象としたマンガコンテンツ “ クリエイターあるある in 日影工房 ” を企画・制作。これまでの著書の大部分は大人の女性を対象としたものとなる。代表作に『バンザイ』(サンクチュアリ出版)、『ユメカナバイブル』(ミライカナイブックス)等。
◆ 絵:ささはらけいこ(役名:もじゃ)
1984年北海道生まれ。金沢美術工芸大学油画専攻卒。東京クリエイターアカデミー(現ウーマンクリエイターズカレッジ)を経て、2010年よりイラストレーター・絵本作家として活動を始める。2014年から “ クリエイターあるある in 日影工房 ” の作画を担当し、「もじゃ」役として出演。2015年におまんじゅうのような子どもを出産し、テンヤワンヤで子育て真っ最中。
* ささはらけいこポートフォリオサイト「星ふるモジャモジャの丘」