すみかる住生活版

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【マンガ】その勘違いで周囲が凍りつく……不妊治療と妊活の大いなる違い【松本えつをの子育てあるあるvol.6】

不妊治療と妊活は違うの?

今さら「不妊治療と妊活は違うんだよ」などと言われても、「そんなことくらいわかってるよ」と思われるかもしれない。
でも、案外、その共通項と違いをちゃんと説明できる人が少ないのも事実。

……ということで、改めておさらいしてみよう。

まず、不妊治療と妊活。そのふたつは「それぞれ違う意味を持つ言葉」である。
しかし、まったく違うかというと、そうとも言い難い。大きな共通項があるからだ。

不妊治療と妊活の共通点は、目的が「妊娠・出産」であること

不妊治療と妊活の最たる共通項は、両方ともその目的が「妊娠・出産」であること。
「似ている」と認識される、あるいは混同されるゆえんはそこにある。

さらに、今は、少子高齢化対策が叫ばれている時代。
妊娠・出産を目的としているものに対して、政府でもマスコミでも前向きかつ、あおり気味な発言が多い。
そして、不妊治療も妊活も、それらの影響を受け、言葉として急速にポピュラーになってきた。

似たようなシーンで、急速に複数のワードがポピュラー化したことで、多くの人が不妊治療と妊活のふたつに似たようなイメージを持つようになった、と言えるのではないだろうか。

不妊治療と妊活は、そもそも「階層」が違う

不妊治療と妊活のそれぞれのワードをざっくり定義すると次のようになる。

・「不妊治療」= 不妊症と診断された人、またはその疑いがある人が、医師に相談のうえ、妊娠・出産を目的として受ける医療行為(治療)。広義でいうと、その状態を指す。

・「妊活」= 妊娠・出産を目的として、妊娠しやすい身体を作るための生活改善を行ったり、パートナーと定期的に話し合ったりなど、妊娠するために積極的・前向きに行う広範囲の活動を総称したもの。その中には不妊治療も含まれる。

……むむむ。
不妊治療と妊活は、「果物カテゴリ」の「りんご」と「みかん」のように同じカテゴリに存在する別のもの同士ではなく、そもそも「カテゴリの階層」が違うじゃないかっ!?
……ということがわかる(はず)。

不妊治療は妊活に包括されるもの、つまり「妊活の一部に含まれるもの」として定義されているのである。
階層が違うので、逆の捉え方、すなわち「妊活は不妊治療に包括されるもの」と定義することはできない。
ようは、妊活をしている人すべてが不妊治療を経験しているとは言えないのである(当たり前!)。

重要なのは、不妊治療と定義されるための決定的な条件が「医療」を伴う点である、ということ。
その医療における治療のいくつかは、患者に対して、精神的にも肉体的にも、さらには経済的にも、強いダメージを与える。

不妊治療を受けている人が経験していることの深刻度たるや、半端ないはずである。

勘違いを伴う「共感」は周囲を凍りつかせることがある

「共感」は多くの場合、相手を勇気づける。
しかし……勘違いを伴う共感は周囲を凍りつかせる。

マンガに登場する「ララ子(仮名)」も、「ウメ子(仮名)」を懸命に励まそうとした。
励ますべく、共感を全身で表現したのである。
悪気がないどころか、良心をもって優しさをフルで発揮させたわけだ。

それなのに、「混同していた」がために、周囲を凍りつかせてしまった……。

「不妊治療中の人を傷つけるなんてサイテー!」なんて、正義感丸出しで誰かの非を訴えるつもりはない。

でも……ただただ、もったいないと思うのよ。
「元気づけてあげよう」「励ましてあげよう」っていう想いから生まれた行動が、結果的に誰かを傷つけたり、冷や汗をかかせたりすることになるなんて。

人の立場や経験はそれぞれ。10人いれば10通り、100人いれば100通りである。

ちょっとの共通項があるからといって、「わたしもそうなの〜! だからあなたも絶対大丈夫」なんて、気楽に言ってしまうと、せっかくの思いやりも水の泡。
さらには取り返しのつかないことになることも……。

「勘違い発言の恐れが少しでもあるときは、声に出す前にいったん咀嚼してみよう」と、改めて心に誓ったきのこであった。

誰かの優しさが、優しさのまま、しっかりと相手に届きますように……。

文:松本えつを

▼松本えつをの子育てあるある▼

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◆ 文・ストーリー構成:松本えつを(役名:きのこ)

絵本作家・エッセイスト・コピーライター。2007年、8年間役員をつとめた出版社から独立。2008年、出産後の出血多量で死にかけるも一命をとりとめたことをきっかけに、女性が働きづらい社会を少しでも変えたいと一念発起。以降、ニッポンの女性アーティスト・クリエイターの自立支援を目的とした教育&プラットフォーム事業を立ち上げ、多くの女性たちの声を聞く。2014年、クリエイターを対象としたマンガコンテンツ “ クリエイターあるある in 日影工房 ” を企画・制作。これまでの著書の大部分は大人の女性を対象としたものとなる。代表作に『バンザイ』(サンクチュアリ出版)、『ユメカナバイブル』(ミライカナイブックス)等。

ウーマンクリエイターズカレッジ「絵本の学校」
クリエイターあるある in 日影工房

◆ 絵:ささはらけいこ(役名:もじゃ)

1984年北海道生まれ。金沢美術工芸大学油画専攻卒。東京クリエイターアカデミー(現ウーマンクリエイターズカレッジ)を経て、2010年よりイラストレーター・絵本作家として活動を始める。2014年から “ クリエイターあるある in 日影工房 ” の作画を担当し、「もじゃ」役として出演。2015年におまんじゅうのような子どもを出産し、テンヤワンヤで子育て真っ最中。
ささはらけいこポートフォリオサイト「星ふるモジャモジャの丘」

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