高齢出産の定義とは?
高齢出産の定義も時代によって変化しているようで、日本産婦人科学会では、現在の「高年妊娠」を35歳以上の初産の場合と定義(*1)している。
(*1)分娩時年齢の高年齢化 現状と問題点
http://www.jaog.or.jp/all/document/54_120509.pdf
たしかに、同学会の報告書によると、年齢とともに卵子が老化し、妊娠から出産の過程における異常発生率は顕著に高くなっている。
しかし、その実態は、まだまだ一般に広く認識されているわけではない! とのこと。
その理由のひとつとして、たまたま身近に高齢で無事に出産する人がいたり、40歳を超えた芸能人が元気な子を出産したという話をメディアで目にしたりするうちに「それなら自分にもできそう」と思うため、ということをあげている。
うんうん、たしかに。メディアで見かける事例で自信がつく……といった流れは、わかる気がする。
でも、正直に言うと、報告書をちゃんと読むと、じつに「怖い」。ただでさえ出産は命がけだと思っているのに、輪をかけて命がけであることが、ひしひしと伝わってくる。
ならば、マンガに登場したアラフォー友人の「産まない」という判断は結果的に正しかったということなのか?
いや、そういうことじゃない。ここで、マンガにも登場したアラフォー友人に問いたい。
大事なのは「前もって自分で決めること」ではないか?
アラフォー友人は、妊娠をするたびに変わっていく周囲の反応に過敏になっていた。でも、彼女が事前に、高齢出産のリスクを調べ、正しい知識を身につけていたとは思えない。
だって、妊娠が成立すること自体が奇跡とも言えるのだから、その奇跡の重みがわかっていたら、あの判断はない気がするのだ。
それに、もともと知識があれば、「なんとなく風まかせな妊活」ということだってしないだろう。
リスクを知ったうえで、それでも赤ちゃんが欲しくて夫婦生活を送るのと、風まかせに妊娠してから、産む・産まないを決めるのとでは、同じ妊娠でも大違いなのだ。
何よりも、生き方って常に自分で決めていくものでしょう。少なくとも現代は。誰とどこのどんな家に住んで、何を着て何を食べて、その結果、どんな人生をつくっていくか。
それが、ひとりの大人としての自立した生き方なのでは?
お人好しになって、身近にいる人々の意見に振り回されて物事を選んでいったら、仮にその先にそこそこハッピーな人生を送れたとしても、きっとモヤモヤすると思うのだ。
ましてや! せっかく授かった命を、周りの反応であきらめる……って、そんなの絶対に後悔するに違いない。
いや、物事の判断基準も含めて本人が決めるべきなのだから、わたしがとやかく言うことではないのだけれども。
自分でしっかり勉強して、しっかり考えて、人の意見も聞いて、そしてまた自分で考えて、最後は自分で決めたいよね。
人の判断に左右されていたら、いざというときにも他人に責任転嫁してしまうかもしれないけれど、自分で決めれば、いざというときの責任感も生まれる。
人の意見を聞くことも大事だけど、それにばかりとらわれて自分の本当の声を見失ってはならない。
理想の暮らしって何? 自分にとっての本当のしあわせって何?
あたりまえすぎて、つい、おざなりにしてしまいそうなことだけど、ちゃんと向き合っていこうぜ! と思うのだ。アラフォー友人にも、世の中の女性たちにも、そして、何よりも自分自身に。
文:松本えつを
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◆ 文・ストーリー構成:松本えつを(役名:きのこ)
絵本作家・エッセイスト・コピーライター。2007年、8年間役員をつとめた出版社から独立。2008年、出産後の出血多量で死にかけるも一命をとりとめたことをきっかけに、女性が働きづらい社会を少しでも変えたいと一念発起。以降、ニッポンの女性アーティスト・クリエイターの自立支援を目的とした教育&プラットフォーム事業を立ち上げ、多くの女性たちの声を聞く。2014年、クリエイターを対象としたマンガコンテンツ “ クリエイターあるある in 日影工房 ” を企画・制作。これまでの著書の大部分は大人の女性を対象としたものとなる。代表作に『バンザイ』(サンクチュアリ出版)、『ユメカナバイブル』(ミライカナイブックス)等。
◆ 絵:ささはらけいこ(役名:もじゃ)
1984年北海道生まれ。金沢美術工芸大学油画専攻卒。東京クリエイターアカデミー(現ウーマンクリエイターズカレッジ)を経て、2010年よりイラストレーター・絵本作家として活動を始める。2014年から “ クリエイターあるある in 日影工房 ” の作画を担当し、「もじゃ」役として出演。2015年におまんじゅうのような子どもを出産し、テンヤワンヤで子育て真っ最中。