すみかる住生活版

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【マンガ】妊婦受け入れ拒否について想ふ。見出すべき「解」とはいったい何?【松本えつをの子育てあるある vol.1】

たしかに、何か問題が起きたときに、その原因を追及することは大事だけれども、これはアレです。責任の所在が明確になったら「それで終了、はい解決、次!」ってパターン。

「医者のせいね。マスコミのせいね。妊婦本人のせいね。……ってことで責任取ってね!」というところまで行ったら、あとは他人事ってやつだ。

なんだか、コメンテーターの方に対して言い方が失礼ですみません。だが、実際そう感じたのだから仕方ないよね。(←ぜんぜん謝ってない)

いや、たまたまそのときに出演していたコメンテーターの方々を叩きたいということじゃなく、彼らに代表されるように、我々ニッポン人(あるいは人間全体?)には少なくとも、そういう傾向があると言えるんじゃないか……ということなのだ。

2007年頃にたびたび報道された「妊婦たらい回し」と呼ばれるニュース

2007年頃、日本各地で起きた複数の妊婦受け入れ拒否問題が報道された……が、記憶にあるだろうか? その呼び方にも賛否両論あったりするのだけども、一番わかりやすい俗称はやはり、残念ながら、“妊婦たらい回し” 事案である。

中でも目立ったのは、救急車で運ばれてきたのが「未受診」の妊婦だったということ。結果、救急車を呼んだものの搬送先の病院が見つからず、多いときは10軒以上の病院をたらい回しにされ、妊婦や赤ちゃんに危険が及ぶという社会問題。ひどいときには死産や妊産婦死亡という事態に陥る。

もう10年ほど経過しているので、人々の記憶も薄れているだろうからこそ、今回は、当時、各地で起きた妊婦受け入れ拒否事案と、その後になされた協議の一部を例にあげつつ、本当に必要なこととは何か? について考えるきっかけをつくりたかった。
その後、事態を深刻に捉え、国会でも地方自治体でも医療関係者間でもさまざまな議論や対策がなされて、この10年ほどで妊産婦や赤ちゃんをめぐる環境は改善されてきたと言えるが、まだまだ、まだまだ、まだまだ! 決して十分とは言い難い。

「妊婦たらい回し」はなぜ起きるのか?

すべての物事には原因と結果がある。ゆえに、この件に関してももちろん、原因を探っていかなければならない。でもそれは、「責任の所在を明確にする」という目的を第一に置くものではなくて、「最適な解決方法を導き出す」ためである……と、少なくともきのこは考えるのだ。

マンガにもある通り、こういったことが起きる場合、患者が「受診歴のない妊婦である」というケースが多い。これが、コメンテーターCのセリフにもある、いわゆる「未受診妊婦」。

そもそも未受診妊婦って何? そんなに危険なの?

未受診妊婦とは、文字通り、これまで産婦人科などの医療機関にかかっていない妊婦のこと。現在、日本では、妊婦は妊娠期間中に14回ほどの妊婦健診を受けることとなっていて、母親・胎児ともに健康状態に異常がないかを定期的に調べ、問題があれば早急に手立てを打つものであり、健診に行かなければ異常に気づける確率も大幅にダウンすることがわかっている。

妊娠期に発生するマイナートラブルには、じつにさまざまなものがある。その具体的な内容を知ると、未受診(=かかりつけ医がいない状態)のまま妊娠期を過ごし、いざというときを迎えるということが、どれだけ危険なことなのかがわかるはず!

大阪府では、2009年に、未受診妊婦を「妊婦健診を1回も受けずに分娩または入院に至った」「全妊娠経過を通じての妊婦健診受診回数が3回以下」「最終受診日から3か月以上の受診がない」のいずれかに該当する者と定義(*1)し、調査を行った。

その調査でわかったのは、妊婦健診に行かなかった理由の第1位は「経済的理由」で33%を占め、次に「無知」、つまり、妊娠にさえ気づかなかったり、妊娠したらどうしたらいいかという知識が欠如もしくは不足したりしていたという理由が21%を占めている(*1)ということだった。

(*1)妊娠・出産にまつわるデータ集:第6回 未受診妊婦の割合
http://baby.mikihouse.co.jp/information/post-2156.html

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